番外編 .太宰と少女 ページ20
「ねぇ、風花」
雨上がりの公園のベンチの上で包帯に体を覆った男_太宰治が隣に座った美しい少女に声をかける
少女はちらりと太宰の顔を覗きこみ、微笑みながら云った
『何ですか?太宰さん』
「最近の情報誌を読んだかい?」
いえ、と小さく首をふった少女が不思議そうに顔を傾げた
「何とね、死者を蘇らせる異能力者が存在するそうなのだよ」
『えぇ、それで?』
少し驚いた顔をした少女はまた首を傾げた
理由は太宰にも分かっていた、太宰は死ぬことを言うことはあろうと死者のことを話すことなどないに等しいのだ
「その死者は死んだことには気がついていないそうなのだよ」
少し間があって少女がええ、と答えた
太宰はそんな少女を見ると切なげに目を逸らし、またゆっくりと口を開いた
「死者は私には触れてはいけないよ、君も周りにそんな人がいるなら伝えておくといい」
『私の周りにはいませんよ、何せマフィアですし
悪者を生き返らせる者などいる訳がありません』
少女はにこりと微笑んだ、そんな少女とは違い太宰は俯くと苦しそうに顔を歪めた
『太宰さん?』
「そうだ、私と海に行かないかい?今から行くと着くのは深夜だけれど、美しい月が辺りを照らすだろうよ」
少女は嬉しそうに笑ったあと、行きましょう!と云った
_
海岸を二つの影が月に照らされて歩いていた
月は薄い雲に覆われていた
ふいに太宰が歩みを止める
『太宰さん?』
「覚えているかい?昔に私は君に此処で告白したんだ」
『…されたのはよく覚えています。ですが、私が何と答えたかだけがよく思い出せないんです』
突然、太宰の瞳から涙が溢れる
太宰の顔を覗きこんだ少女が太宰へと手を伸ばす
「!?ふ、触れないでくれたまえ」
『ごめんなさい』
二人の間に屡々の沈黙が流れた
その直後は心地がよいものであり、何の違和感も感じなかった
太宰がぺしゃん、と砂浜に崩れ落ちる
涙で整った顔が台無しだった
「好き…好きなのだよ…、愛おしくて、好きで…好き」
壊れた人形の様に同じ言葉を繰り返す
少女は砂浜に腰を下ろすと太宰を見つめ、手を伸ばした
「_好き、好きだった…愛していたんだ」
『私だって好きでした、生きていられるのなら貴方と一緒に生きていたかった。好きでした、あの日は死んでもいいくらいに月が綺麗で心地がよくて…』
番外編 .太宰と少女2→←18.正義の粛清を、いらっしゃいませ。
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ミレー - ラムさん» いえいえ大丈夫ですよ(*^□^*) 此れからも楽しみに待ってます(。-∀-) (2019年12月8日 10時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» ♯41に恐らくあります.......。更新の間が空いてしまい、読みづらくなっていてすみません、(リア友宛で頼まれた小説を書いてるもので) (2019年12月7日 8時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 中也様最後に何を言ったのでしょうか?(。-∀-) 続き楽しみですv(・∀・*) (2019年12月7日 7時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - ラムさん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみですσ(*´∀`*) (2019年11月22日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» まぁいとこですけどね笑笑 続きは更新しますよー (2019年11月21日 18時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:少女F(旧ラム) x他1人 | 作成日時:2019年7月8日 0時