本当の伝説、その名は_______ (ページ8)

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とある高校生の日記ページ8

4月8日
今日は綾薙学園の入学式だった。明日から寮生活だから、しばらく実家に戻ってくることはないだろうなぁ。俺と翼が高校生、ってことは湊にぃともう10年も会えていないことになる。柊のお爺様には『湊は死んだ』と言われたけれど、絶対に湊にぃは生きてる。これだけは譲らない。
そういえば、最後によっておこうと思って湊にぃが使ってた部屋に行ったら、ベッドと壁の隙間から一冊の分厚いノートが出てきた。中身を見てみたら、どうやら練習ノートらしい。遠くまで響く発声の仕方、基本ステップ、新しく思いついたフレーズなどがびっしりと記されていた。そのノートの最後には数枚の紙が折りたたんで挟まれていた。並ぶ五線譜と音符、まだ未完成の歌詞…曲だった。それも、湊にぃが作った唯一形の残る曲。題名には『gift (いつか愛する弟達に幸せが訪れることを願って)』と記されていた。

《見渡せばあの日願った景色》

これは紛れもない湊にぃの本音。幼い頃夢見ていた、兄弟3人で立つステージ。

《感じるままに夢に捧ぐ》

これも昔、俺と翼が言った言葉。

《Sing for dream》

夢のために歌え。湊にぃが大好きだった言葉。
まるで、大切な思い出を閉じ込めたみたいな曲。それから、そのノートの中身を全部見た。まだそんなに見たわけじゃないけど大体は覚えた。というか、スッと頭に入った。その中にあった題名のない振り付けは、俺が大好きなタイプだった。ちょっと踊ってみたら大体はできた。これからはこれを踊るのを日課にしようかな。他の振り付けは題名があるのに、たった１つだけ何もないこれは、俺へのメッセージなのかもしれない。何者にも囚われなくていい。自由でいいんだよ。って言ってる気がした。
翼には悪いけど、このノートのことはもう少し内緒にしていようと思う。いつかバレたら怒られちゃうなぁ笑でも、もう少しだけ。せめて、俺が翼と昔…ほどじゃなくても対等に話せるようになってから話そうと思う。早く翼と2人で笑い合いながらこのノートを一緒に見たいな。
めずらしく長くなっちゃった。今日はもうこれくらいで終わりにしよう。明日からすぐに月皇先輩のレッスンが始まるんだから。