第肆拾壱話 追いつけない現状 ページ5
俺は暗闇の中で一生懸命に自我を保とうと頑張っていた。
けど、頭の中にはあの日、母さんが巨人によって捕食されるシーンがグルグルと回っていた。
貴「…っ、殺/してやる。この世から一匹も残らず、絶対にっ」
許さない。巨人も…ひ弱な人間もっ
？「〜〜！〜〜〜〜〜っ‼︎」
貴「んっ」
誰かに呼ばれた気がして目を覚ます。
ミカサ「っ！A⁉︎」
貴「…ミカサ？」
あれ？俺、一体何をしていたんだ？
わからない…何かと闘っていたのは分かるけど、この人だかりは何？
なんでみんな俺を化け物を見るような目でみるの？
兵士「おい聞いたか。殺/してやるって言ってたぞ‼︎」
貴「…はっ？」
どういうこと？
班長「おい、エレン・イェーガー」
貴「…はい」
班長「貴様は人間か？それとも巨人か？」
貴「……」
いきなりの質問にはっきりと意図が読めなかった。
貴「…ミカサ」
ミカサ「何？」
貴「手、かして」
ミカサ「？はい」
ミカサの手を握り、どんなことが起こったのかを見た。
貴「…っ」
そっか…そんなことがあったのか。
これで納得したよ。何故あの人が俺にそんな質問をしたのか。
班長「もう一度言う‼︎貴様は人間か？それも巨人か…どっちだ‼︎」
貴「俺…人間です」
班長「！」
貴「少なくとも、心は」
何がどうであれ、もはやこの体は人間ではない、としか考えられないんだ。
班長「…っ、構えろ」
カチャカチャ
貴「！」
やっぱり…そうなるよね。
貴「アルミン、ミカサ、捕まれ！」
アルミン「えっ」
ミカサ「分かった」
俺はどうなってもいいが、この二人だけは助けたいっ‼︎
左手の親指の真ん中あたりを強く噛んだ。
カッ
ゴォォォォ
班長「なっ」
兵士「ぐっ」
中途半端ではあるが、少なくともニ人を逃がすことはできるはず。
貴「はぁ…はぁ…っはぁ…」
とりあえずは逃げれたはずだ。しかし、相手はきちんと訓練された奴らだ。いつまでもつかわからない。
貴「はぁ…っおい、はぁ…二人共」
アルミン「な、なに？」
貴「俺はこれから家の地下室へと向かう」
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作者名：天空の姫君 | 作成日時：2014年12月30日 10時
