氷上で煌めく太陽８ (ページ38)

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３８１話【結弦side】ページ38

名古屋でのショー当日。
リハーサルのために会場入りすると、さっそくノブくんに遭遇した。

ノブ｢おー、ゆづ！ひさしぶり！｣

結弦｢ノブくん久しぶり〜。相変わらずテンション高いね｣

ノブ｢それが俺の取り柄やから。それよりゆづ！Aちゃんのアレ、なんなん！？｣

結弦｢あれって？｣

分かってる。
分かってるけど、あえて知らないふり。
できればあんまり振ってほしくなかったんだけどな、その話題。

まあ、ノブくんなら無理か。

ノブ｢とぼけないでよ〜。ハン・ヤン選手との交際報道！Aちゃん、なんか言ってた？｣

結弦｢さあ……気になるなら本人に聞いたらいいじゃん｣

ノブ｢え、嫌や。そんなん聞いてAちゃんに嫌われたくないもん。ゆづ代わりに聞いて｣

結弦｢……その嫌われ役を僕にやれっていうの？｣

ノブ｢ゆづならAちゃんも嫌いなんて言わないやろ？｣

結弦｢ノブくん、ベラベラ周りに喋るから言いたくないなー｣

ノブ｢ってことは、なんか知ってるんやん！ねえ、教えてや〜｣

結弦｢いーやーだ。そんなに聞きたいならノブくんのトークスキル使って聞きだしたらいいじゃん｣

お願い！嫌だ！の押し問答を繰り返しているうちに、残りの出演者もゾロゾロと集まってきた。

そしてみんな、開口一番がノブくんと同じってどういうこと。

カナに至っては｢Aちゃんの相手はゆづ以外許さないんだから！｣なんてわけわかんないキレかたをされて、もうリハーサル前から疲れる。

美姫さんはAちゃんと面識はないはずなのに、妙にAちゃんに対して辛辣。

｢ソチで金メダル獲って浮かれて、ワールドで結果出せなかったんじゃない？それでいてあの報道ってあんまり印象良くないよね｣なんて言ってる。

ちょっとカチンときたけど、これからショーが待ってるし、あまり波風立てたくないからグッと我慢した。

真央｢ゆーづ｣

結弦｢真央ちゃん。どうしたの？｣

真央｢Aちゃん、ハッキリ付き合ってないって否定してたよ｣

結弦｢うん……俺にも、そこまでハッキリじゃないけど違うって教えてくれた｣

真央｢そっか。それなら２人の関係は大丈夫だね。……心配なのはAちゃんだよ｣

結弦｢そうなの？｣

真央｢女心と、ファン心理っていうのは複雑だからね｣

面倒なことにならないといいけど、と言って真央ちゃんは控室へ行ってしまった。

面倒なことってなんだよ……。