4話 ページ4
やってきたのはおしゃれな雰囲気のレストラン。
その奥にある個室へと案内されて、ドアを開けるとそこには懐かしい顔ぶれ。
真央「Aちゃん!会いたかったー」
佳菜子「久しぶりじゃん〜!」
「真央ちゃん、佳菜子ちゃん!会えて嬉しいよ〜」
二人が引退してから、初めてゆっくりと会える時間が取れた。
オリンピックの男子が終了したタイミングっていうのが、偶然にしては出来すぎな気もするけど。
真央「さて。食べながら話そっか」
佳菜子「やっぱ今の話題と言ったら、ねえ?」
ちらっと遠慮がちに私の方を見る佳菜子ちゃん。
言いたいこと、分かるよ。
「べつにそんな、遠慮しなくてもいいから(笑)なんでも話そ」
佳菜子「え、じゃあなんでも聞いていいの?」
佳菜子ちゃん、急に目がキラキラし始めたよ(笑)
それを見た真央ちゃんも、「カナ、わかり易すぎ!」と笑った。
「いいよ、なんでも。二人なら信用して話せるから」
真央「そう言ってもらえるなんて嬉しいな」
佳菜子「じゃあ遠慮なく。昨日の男子フリー、見た?」
真央「見た見た!ゆづも昌磨も凄いね〜!日本選手がワンツーフィニッシュとか、鳥肌立ったもん!」
「そうだよねぇ。ゆづくんも昌磨くんも、オリンピックメダリストなんだよねぇ·····」
改めて、凄い人たちなんだな、と時間が少し経って冷静に考える。
佳菜子「Aちゃんもちゃんと見たんだ?ゆづの試合」
「見たよ。約束したもん、ちゃんと応援してるからね、って」
金メダル獲るところ、ちゃんと見るからねって。
真央「でもさあ·····2人、別れちゃったなんて寂しいよね」
佳菜子「ほんとだよー。ゆづもAちゃんもお互いに大好きー!って感じだったのに」
「うーん……そう言ってもらえるのは嬉しいけど、好きだけじゃうまくいかないこともあるんだよ」
真央「なんか、大人になったね。Aちゃん」
「色々あったからね……。でもカナダで過ごした4年間は、私の大切な宝物だよ。ゆづくんと過ごした時間も後悔してない」
これは、心からそう言える。
ゆづくんとスケート仲間として過ごした4年間も。
想いを寄せ合った2年半も。
佳菜子「好きだからこそ、お互いのことを思って別れるとか……切ないなあ」
真央「本当だよ。こういうこと聞くのも失礼かもだけどさ、ヨリ戻したりとかは無いの?」
「無いよ。やっぱり私もゆづくんも、スケートが一番だって分かったから」
あの頃みたいな私たちに戻ることは無いよ。
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作者名:優里奈 | 作成日時:2023年10月28日 9時