氷上で煌めく太陽２２

１０３０話 ページ2

｢なんだあ……知ってたんだ。それでその事でスカイプを？｣

佳菜子《まあ、やっぱりカナの性格上、色々聞きたくなっちゃって。嫌がられるの承知で》


ごめんねー、と顔の前で両手を合わせる佳菜子ちゃん。
てへっ、とでも言いそうな顔してるから、本気で悪いとは思ってないな、これ(笑)


｢いいよ。ゆづくんのことだから、佳菜子ちゃんのこと信用して言ったんだと思うし。気にしないで｣


二人の絆がそれだけ強いものだって、世界選手権の時によく分かったから。
今はもう、私だけ……なんて言って二人の関係にヤキモチ焼いたりしない。



佳菜子《そんなにゆづから信用得てるとも思えないけど……まあいっか》


うん。
深く考えないあたりは佳菜子ちゃんらしいや。


それからは、佳菜子ちゃんとスカイプで結構話してた。



佳菜子《なにも呼び方変えることないのに》

｢これは気持ちの切り替えをするための手段なの｣

佳菜子《Aちゃんってたまにやること極端だよね》

｢佳菜子ちゃんに言われたくないな｣

佳菜子《言うねぇ(笑)……なんか、元気そうで良かった》

｢え？｣

佳菜子《いろいろ大変そうだからさ、Aちゃん》

｢まあ……否定はしないけど｣

佳菜子《カナはまたAちゃんがリンクに戻ってくるって信じてるからね》


頑張れ！と画面の向こうで変顔＆ガッツポーズを見せる佳菜子ちゃん。
明るい佳菜子ちゃんのパワフルさに、つい笑いがこみ上げる。

たぶん、変顔は佳菜子ちゃんなりの励まし方なんだろうな。

ありがと、とお礼を言って佳菜子ちゃんとのスカイプを終えた。


姉｢A、スカイプ終わった？結弦くんの試合の結果出てるよ｣


様子を見に来たお姉ちゃんがこっそりとドアの隙間から顔を出す。


｢え、本当？気になる！見せて！｣


お姉ちゃんからスマホを借りて結果を確認する。

オリンピックが控えた大事なシーズン。
グランプリシリーズはその腕試しの最初の大きな大会。


｢……あ。え？2位……｣


ショートの1位はネイサンだった。
ゆづくんはその次。得点の差が6点もある……。

｢ジャンプかあ〜……｣


ループとコンビネーションでGOEマイナス。
ショートでジャンプミスは痛いね……。

でもきっと大丈夫。
ゆづくんはフリーで巻き返してくるよ。


｢頑張れ……｣


ゆづくんは全力で戦ってる。
私も頑張らなくちゃ。

１０３１話【結弦side】《ロステレコム杯2017　男子SP》→←１０２９話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す