氷上で煌めく太陽１９

９２１話 ページ40

｢でもさぁ、なんで昌磨くんの恋バナを結弦がしてるの。昌磨くんが話すんじゃないの？｣


自分の恋バナを、別の誰かにされるのって嫌じゃないのかな？
私だったらベラベラ話されたら嫌だけど。


結弦｢あ、そこは大丈夫。ちゃんと昌磨もオッケーしてるから。むしろお願いされたくらい｣

｢あ、そうなの｣

昌磨｢俺だとうまく説明できなさそうだから。ゆづくんなら、話すの上手いし｣

刑事｢みんなに話していいの？って聞いたら、最初は迷ってたんだけど結弦に説き伏せられたんだよな(笑)｣


田中さんがそう言うと、昌磨くんはちょっと苦笑い。


｢結弦、無理やり昌磨くんを説得したんじゃないでしょうね？｣

結弦｢人聞きの悪いこと言わないでよ。こういうのは、味方とか相談相手はいっぱいいたほうがいいよ、ってアドバイスしただけ｣


俺の経験から言ってるの！とドヤ顔で言う結弦に少し呆れながらも、昌磨くんの片想いの相手が誰なのかも気になって、これ以上は追求しないことにした。


昌磨｢ゆづくんはほら。一応こういうことは先輩だし？何か参考になるかなーって思って｣

結弦｢一応ってなんだよ｣

刑事｢彼女持ちだけど、それまでずっと彼女なんていなかったからだろ。結弦の恋愛経験値に不安があるんだよな？｣


スケートの経験値なら文句なしなのに、と田中さんに言われて、口を尖らせる結弦。
まあ……田中さんの言うことも分からなくもないかな(笑)私も似たようなもんだけど。


舞依｢で、昌磨くんの片想いの相手って誰なんですか？みんな知ってる人？｣


ちょっと話がずれかけたところで、舞依ちゃんが本題に戻してくれた。

そうだった。
結弦をイジるのが目的じゃなかったわ。


昌磨｢まあ……知らない人はいないんじゃないかな｣


みんな会ったことあるよ、という昌磨くんの一言で、あることを思い出した。


｢ねえ、私分かったかも。昌磨くんの好きな女の子｣

昌磨｢えっ｣

｢間違ってたらごめんなんだけど、言ってもいい？｣


昌磨くんがちょっと緊張した面持ちでうん、と頷く。
みんなの視線も、私に集まった。


｢えっと……本田真凜ちゃん、とか？｣


彼女の名前を出した瞬間、昌磨くんも結弦も田中さんも目を丸くして私を見てる。
しばらく無言の状態が続いて、なんだか気まずい感じ……。


｢あれ？違った？ごめん！勘違い！｣


ごめん〜、と昌磨くんに手を合わせて謝ると、｢なんで知ってるの？｣と言われた。


え、まさか本当に真凜ちゃん！？

９２２話→←９２０話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す