氷上で煌めく太陽１９

９１９話 ページ38

現地に入って、初めての公式練習。

日本からは、四大陸選手権と同じメンバーが出場する。


舞依｢Aちゃん、おはようございますっ！｣


ペコッっと可愛く頭を下げて近づいてきたのは、可愛い可愛い後輩の舞依ちゃん。
四大陸での優勝が自信になったのか、今とてもいい顔をしている。


｢舞依ちゃんおはよう！いよいよだね。頑張ろうね｣

舞依｢はい！日本の代表として、しっかり自分の役目を果たしたいです！｣

｢そんなに気負わずに、もう少し楽にしていいと思うよ｣


そうですか？という舞依ちゃんは、それ以上不思議がることもなくすんなり納得したようで、すぐに練習の準備に取り掛かる。


私もリンクサイドで体を温めて、練習時間になると同時にリンクイン。

周回を始めてすぐ、カメラを構えた馴染みのある人を見つけた。


田中さんだ。
四大陸も来てくれたし、今回もお世話になります！
田中さんの写真はいつも素敵なものばっかりだから、下手な演技は出来ないぞ。

リンクで体が温まったら、氷の感触を確かめるようにフリーのコレオを軽く流す。
うん、結構滑りやすいかも。

それからちょっとして、ブライアンの指示でショートのジャンプを跳ぶ。


フリップ、ルッツトゥのコンボ、アクセル。


｢うん。いい感じ｣


思ったより体も軽くて、ジャンプもほぼ完璧に決まった。


ブライアン｢調子は良さそうだね。強いて言うなら、フリップのあとのフリーレッグをもう少し意識して｣

｢OK｣


その後はショートとフリーのステップをやってエッジワークの修正なんかをして、初日の公式練習を終えた。


それと入れ替わりで、私達のあとに男子の公式練習があって。
帰る前に少しだけ男子チームと話すことができた。

と言ってもほんの少し立ち話をする程度だから、ゆっくり会話なんて出来なかったけど。
夜はシングル選手は時間があるから、結弦の提案でみんなで昌磨くんの部屋に集まることになった。
言い出しっぺは結弦なのに、なんで昌磨くんの部屋なんだろ？

そう思いつつも、みんなで集まるのがちょっと楽しみだったりして。
舞依ちゃんと新葉ちゃんと、｢修学旅行みたいだね｣とワクワクしながらホテルに戻った。


修学旅行かあ……。
そんな気分味わうの、小学校以来だな。
中学の時は、世界ジュニア直前に見知らぬ男に襲われて怪我をした肩と足のリハビリが重なって行けなかったし。
高校は通信制でそんなの無かったからな。

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