氷上で煌めく太陽１９

９１７話【結弦side】 ページ36

ドアを開けた先には、刑事だけじゃなくて昌磨も一緒にいた。


結弦｢2人そろってどーしたの｣

刑事｢や、特に用は無いけど。さっきAちゃんの姿見つけたから、結弦もいるんだろうなって思って｣


顔見に来た、と言う刑事に、俺は思わず笑った。


結弦｢そんなに俺に会いたかったの？どんだけ俺の事好きなんだよ(笑)｣

刑事｢そんなんじゃねーよ。今日はもうやることないし、結弦にはたまにしか会えないから、会える時は顔出しとこうかなって｣

結弦｢やっぱ俺の事好きなんじゃん｣


素直じゃないなあ〜、なんて刑事の頭を撫でると、ハイハイといつもみたく軽くあしらわれた(笑)

会えば必ず繰り広げられる、いつもの俺たちのくだらないやり取り。
まさか日本から遠く離れたフィンランドでやるとは思わなかったけど(笑)

誰かと話す気分じゃないって思ったけど、こうやって同期や後輩が来てくれると嬉しいもんだな。


お邪魔します、と部屋に入った二人をベッドに座るように促す。
椅子、一つしか無いからね。それは俺が座るわ。


結弦｢二人はどう？調子の方は｣


とりあえず、無難な話題から振ってみる。


刑事｢まあ、まだリンクに行ってないからわからないけど。時差ボケはそうでもないかな｣


刑事の言葉に、昌磨もうんうんと頷く。
昌磨は国際試合の経験豊富だし、刑事もそのへんはしっかりしてるから出だしは良さそう。


昌磨｢そういうゆづくんはどうなの？さっきちょっと浮かない顔してるふうに見えたけど……｣

結弦｢え、俺？｣


よく見てんなー。無意識にそんな顔してたのかも。
まあ、昌磨も刑事と同じくらい長い付き合いだし、意外と人のことよく見てるもんな。


刑事｢やっぱりあれか？AちゃんがSNSで色々言われてる件とか？｣

結弦｢え、知ってんの｣

刑事｢知ってるも何も。ネットでは結構話題になってるし。SNSでも頻繁にそれ系の投稿見るよ｣

昌磨｢俺も見た。ネットニュースにもなってたし、週刊誌もそのアカウントにコンタクトとってるみたいだよ｣


まじかー。
ネットですら拡散力がすごいのに、週刊誌なんかが取り上げたらますます有る事無い事好きなように憶測で書かれるんじゃ……。


昌磨｢なんか、タイミングが悪いよね｣


なんで世界選手権のときなんだろ、と昌磨が言う。
いや、向こうはそれが狙いなんだと思うよ。

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