905話 ページ24
結局あのあと、結弦のお願いを叶えることになった。
「一瞬だけだからね!」と念を押して軽く唇に触れると、すかさず結弦からしっかりと唇を塞がれて。
「充電完了とか……私は結弦の充電器か」
ハビ「え?なにか言った?」
「ううん。なんでもない!さ、練習しよ!」
今はもうリンクの上。
結弦のことは一旦置いといて、気持ちをスケートに集中させなければ。
もうすぐ世界選手権が待ってる。
去年、フリーで160点を超えるPBを出して完全優勝したからか、『去年の自分を超えられるか』とか『日本女子初の2連覇へ』とか言って、周りが結構盛り上がってる。
すごく難しいチャレンジだけど、当然優勝はしたいし、演技構成だけを見ればPBだって出せる。
だけど大会が近づくにつれて、それが重いプレッシャーになってきていて。
自分でも分かるくらい、余裕がなくなってきてる。
結弦やハビの前ではなんでもない風に装ってるけれど。
周りの期待とか、『無敵の世界女王』『宿敵メドベージェワとの一騎打ち』と煽るマスコミとか。
私の気持ちを差し置いて盛り上がってるのが正直キツイ。
それに……
練習終わりに、着替えを終えてカバンを手に取ったところで、スマホの着信ランプが光ってることに気づいた。
メールの着信通知。
見たこと無いアドレスからだけど、なんだろ。
ロッカールームを出たところで、通路の壁に寄りかかってメールを確認する。
不思議に思いながらメールを開いて、送り主の名前を見てため息が出た。
《やっほ〜!由香里だよ!前のアドレスで送れなくなっちゃったから、新しいアドレスで送ってみたよ!もうすぐ世界選手権だね〜。あ、一応Aちゃんも応援するけど、一番は昌磨くんだから!羽生くんはそんなに好きじゃないから応援しないかも。ごめんね〜》
「なんの報告だよ……」
舌打ちしたくなるのをグッとこらえて、大きく息を吐く。
あの人、本当になんなの?
大会のたびにこうやってメール送ってきてさ。
しかも着信拒否したのに、わざわざメアド変えて送ってくるか?
大して内容のないメールにうんざりしながら、たぶん意味がないと思いつつ、このメールも着信拒否をした。
結弦「A。もう帰り支度できてたの?」
早いねー、なんて穏やかな笑顔で現れた結弦に、ついさっきまでイライラしていた気持ちがどこかに吹っ飛んでいった。
180人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやめ(プロフ) - はい!毎回楽しみに待っています。(^O^) (2022年8月27日 11時) (レス) id: 418efe221e (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - あやめさん» いえいえ(^ ^)初めてだと分からない時ありますよね(^-^)お名前はちゃんと表示されてて分かりますよ〜(^^)お話はまだまだ続くのでこれからもよろしくお願いします😊 (2022年8月27日 10時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - そもそも占いツクールでこうやってコメントのお話するのが優里奈さんで初めてだったもので、、、うまく伝えられなくてすみません (2022年8月27日 9時) (レス) id: 418efe221e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - ああ、勘違いさせてしまってすみません。左上に名前が表示されているのでわかるものなの?っていう確認をしたかっただけです。 (2022年8月27日 9時) (レス) id: 418efe221e (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - あやめさん» あっ、そうなんですね( ˊᵕˋ ;)名乗らなくても分かるかな?という事だったので前にお話した事あったのかも、と思ってました💦いつも読んでくださってありがとうございます!こういうコメントを頂けると頑張れます💪 (2022年8月27日 7時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:優里奈 | 作成日時:2022年8月12日 10時