903話 ページ22
「結弦!見て!」
3月はじめのある日、練習のためにクラブに来て、結弦の姿を見つけると大きな声で呼び止めた。
結弦「Aおはよ。どうしたの、いつもよりテンション高いね」
なんかいいことあった?と言う結弦に、ニヤけながらあるものを見せた。
「じゃーん!!」
結弦「……あ!卒業証書!そっか、A高校卒業したんだね!」
「そうなの!卒業式に出られないからって、わざわざ送ってくれたんだよ」
二人で眺めるのは、えんじ色の卒業証書。
高校に入ってから今まで、いろんな事があったなあ……なんてしみじみと思い出す。
カナダに拠点を移して、憧れだった結弦と仲間として練習することになって。
レベルの高いスケートに、必死でついていったっけ。
そして迎えたソチオリンピック。
足首を痛めるアクシデントもあったけど、ブライアンやチームの皆を信じて頑張ったかいもあって金メダルを獲ることができた。
あのときは人生で一番忙しかったなあ。
それに……
「あぁ……」
結弦「どうしたの」
「いや……高校に入ってからのことを思い出しててさ。ソチで結弦に告白されたなあって」
結弦「そういうこともあったね(笑)3年も経ったんだなー」
「早いねえ。こんな感じでこれからも時間が過ぎていくのかなあ」
結弦「なに年寄りみたい(笑)まあ、なにはともあれ、卒業おめでとう。春からは大学生だね」
「えへへ……高校が四年制だったから同学年の子たちより1年ズレてるけど。よろしく、先輩!」
結弦「うわ、先輩とか言われ慣れてないから恥ずかしい(笑)」
結弦は本当に恥ずかしいのか、目を細めてニヤけてる。
でも気持ちはわかるなあ。
スケートがメインの生活だから、学校生活であまりほかの生徒と交流することが無かったんだよね。
それは結弦も私も一緒みたい。
「でもさ。大学生って言っても通信制だからねー。いまいち実感が湧かないんだよね」
結弦「それは俺もそうだったよ。でもオンラインで講義受けたり先生方とやり取りしてるうちに、『あ、今の俺大学生っぽい!』ってふと思うようになった」
「へぇ〜。私もちょっとは大学生っぽさ感じられるかな?高校もさ、年一回のスクーリング合宿で色んな人と交流はあったけど……一つだけ悔いがあるんだよね」
結弦「え、なに?」
「えっとね……」
準備をするためにロッカールームに向かいながら、唯一の心残りを結弦に話す。
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あやめ(プロフ) - はい!毎回楽しみに待っています。(^O^) (2022年8月27日 11時) (レス) id: 418efe221e (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - あやめさん» いえいえ(^ ^)初めてだと分からない時ありますよね(^-^)お名前はちゃんと表示されてて分かりますよ〜(^^)お話はまだまだ続くのでこれからもよろしくお願いします😊 (2022年8月27日 10時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - そもそも占いツクールでこうやってコメントのお話するのが優里奈さんで初めてだったもので、、、うまく伝えられなくてすみません (2022年8月27日 9時) (レス) id: 418efe221e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - ああ、勘違いさせてしまってすみません。左上に名前が表示されているのでわかるものなの?っていう確認をしたかっただけです。 (2022年8月27日 9時) (レス) id: 418efe221e (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - あやめさん» あっ、そうなんですね( ˊᵕˋ ;)名乗らなくても分かるかな?という事だったので前にお話した事あったのかも、と思ってました💦いつも読んでくださってありがとうございます!こういうコメントを頂けると頑張れます💪 (2022年8月27日 7時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優里奈 | 作成日時:2022年8月12日 10時