氷上で煌めく太陽１９

８９６話【結弦side】 ページ15

今季何度目かのノッテ・ステラータ。

来年オリンピックが行われるこのリンクで、様々な想いを込めて全力で演技が出来た。

やっぱり、みんなに見てもらってる中でスケートができるってすごく気持ちいい。


リンクサイドに戻ると、次に出番のAが待機している。


その姿を見て、息を呑んだ。


衣装はさっき見たから知ってたけど、さらに同じ色のグローブを嵌めて頭には小さなティアラがついている。
競技プロでは絶対につけない大きめのイヤリング。照明でキラキラと輝いている。


まるでディズニープリンセスみたい。なんて思ったけど、実際のところどうなんだろ。
何の曲でやるか聞いてないし、想像と全く違うダンスナンバーだったら逆にビックリだけど(笑)


バックヤードで汗を拭きながら、演技を終えた昌磨とモニターを見つめる。
そこにパトとボーヤンもやってきた。

みんなしてAの演技に興味津々。
何やるんだろね？なんて話しながらスタートポジションについたAを見る。


結弦｢……あ、｣


曲が流れた瞬間、すぐに分かった。
そっか。
それで黄色い衣装なんだ。


ボーヤン｢『Beauty and The Beast』だね｣


ボーヤンの言う通り、Aは美女と野獣の曲で演技をしている。
その姿はとても綺麗で、大人っぽさと可愛さもあって、また新しいAを見た気がした。

俺のこと振り幅が凄いとか言ってたけど、Aだってじゅうぶん振り幅すごいよ。


パト｢Aがベルなら、野獣はユヅルってことになるのかな？｣

結弦｢そうじゃないと困る。Aの隣は俺の場所だから｣

パト｢ははっ。こっちの野獣さんも怒らせたら怖そうだね(笑)｣

結弦｢そんなこと無いし｣


もう、パトリックからも冷やかされるなんて。
祝福してくれるのは嬉しいけど、ちょっと恥ずい。


ボーヤン｢Aの演技は、まるですぐそばに王子様が居るように見えるね｣


2人が寄り添って踊ってるみたい、と言う言葉に小さく頷く。

演技をしながら俺の事を想ってくれてるのかな。

なんて。
これで｢違うよ｣とか言われたらショックだな(笑)


今のAはまさに『氷上のプリンセス』。
ディズニープリンセスにも負けてない。

うん。可愛い。
すごく素敵なプログラムなのに、これの何が恥ずかしいんだろ？

エキシビションが終わったら聞いてみよ。

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