氷上で煌めく太陽１９

８９４話【結弦side】《四大陸選手権2017　EXH》 ページ13

表彰式が終わって、エキシビションの準備に入る。


試合モードから少しリラックスして、ほかのスケーターと談笑したりして。
さっきまでライバルだった皆も、この時間はそういったのは抜きにしてフレンドリーに話しかけてくれる。


そんな合間にも、気になるのはAのこと。

Aどこにいるのかな？
三原さんと一緒かな？

周りを見てみるけど、こう人が多いと見つけられないや。


昌磨｢ゆづくん、Aちゃん探してるの？｣

結弦｢へっ？！……あ、なんだ。昌磨か｣


A探しに夢中になっちゃって、隣に昌磨がいるの忘れてたわ。


昌磨｢Aちゃんなら、ほら。あそこ｣


昌磨が指差す先には、JAPANジャージを着て三原さんと楽しそうに話すAの姿。

おかしいな、さっきあの辺りも見たはずなのに。
俺より先に昌磨が見つけたのがちょっと悔しいけど、同じ場所にAがいるっていうことのほうが嬉しくてつい頬が緩む。


昌磨｢声かけないの？そんなにニヤニヤしてるのに｣


モジモジしてるなんてゆづくんらしくない、と言う昌磨。


結弦｢モジモジなんてしてねーし(笑)いいの！どうせフィナーレでわちゃわちゃした時に行くし……って、……あれ？｣

昌磨｢どうかした？｣

結弦｢いや。Aの衣装、今までのエキシと違うなって思って｣

昌磨｢ああ。四大陸とワールドは違うプロでいくって言ってたような｣

結弦｢あ、そうなの｣


って、なんで俺より昌磨のほうが知ってんのよ。
ちょっと……というかすげぇ悔しいんですけど。


昌磨｢ゆづくん。不機嫌が顔に出てる(笑)｣

結弦｢だってさぁ。なんで昌磨のほうがAのこと詳しいの。Aの姿だって、俺見つけらんなかったのに昌磨は簡単に見つけるしさー｣

昌磨｢そんなこと言われても(笑)見つけたのはたまたまだよ。プログラムのことはさっき舞依ちゃんから聞いたの｣

結弦｢それなら俺にも教えてくれてもいいのに｣

昌磨｢そう拗ねないでよ(笑)｣


てっきり今回も同じプロだと思ってたから、ジャージの下から見える黄色っぽい衣装は新調したのかと思ってた。

てか、普段一番近くにいる俺が知らないってどうなの。


昌磨｢一応言っておくけど、俺も舞依ちゃんも、何を滑るのかは知らないからね？Aちゃんが教えてくれなかったって｣

結弦｢え、なんでさ｣

昌磨｢恥ずかしい、とかなんとか？｣

結弦｢恥ずかしい？｣


え、今さらスケートすることの何が恥ずかしいんだろ？

８９５話→←８９３話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す