氷上で煌めく太陽１９

８９３話 ページ12

｢ああ……あー、悔しい｣

舞依｢フリーは１位やったけど、ショートの差を縮められなかったですもんね｣


そうなのだ。
総合優勝はネイサン。昌磨くんは３位で結弦と一緒に表彰台にあがった。


結弦はフリーこそ１位だったけど、ショートで開いたネイサンとの差を埋められなくて２位だった。

後もう一つ。
コンビネーションジャンプが２回転１回転になったところ。

リカバリーは見事だったけど、あそこが決まっていれば優勝できたのに。


｢なんて。悔やんでも仕方ないか｣


結弦だっていつも完璧なわけじゃない。
うまくいかないときだってある。

そんなことを言ったら、｢試合で妥協はしたくないんだけど｣って結弦に怒られそうだけど。


舞依｢でもでも、二人揃って銀メダルやなんて……こんなところでもラブラブなんですね！｣


羨ましいなあ、とニコニコしている舞依ちゃん。
いやいや。｢一緒に銀メダル獲ろうね｣とか約束したわけじゃないし(笑)
ていうか、獲るなら金メダルが良かったよ。


舞依｢エキシビションで羽生くんに会ったら、なんて言うんですか？かっこよかったよ、とか？｣

｢そんなの言わないし！｣

舞依｢えー！言わないんですか？！｣

｢はずかしいじゃん(笑)｣

舞依｢二人は人目もはばからずイチャイチャするのかと思ってました……｣

｢いや、むしろその逆だから！｣


だって相手は羽生結弦だよ？

世界中にファンがいる、アイドル並みの人気を誇るスケーターだよ？


ただでさえプライベートなことは公に出さない人なのに、公然の場でそんなことしないって。

出したら出したで、ネットや週刊誌の格好の餌食だし。



｢ほら！エキシビションの準備しにいこう！のんびりしてると時間無くなるよ？｣


私と結弦の話を強引に終わらせる。
そろそろ準備を始めないと、本気で間に合わなくなりそう。


結弦たちも、今頃バタバタしながら準備してるのかな。

試合後にすぐエキシビションで疲れてないかな？

会ったらまず｢お疲れさま｣って言おう。
かっこよかったよ、はふたりきりの時に。


話したいことはいっぱいあるけど、今はまず目の前に迫るエキシビションに集中しなくちゃ。

８９４話【結弦side】《四大陸選手権2017　EXH》→←８９２話《四大陸選手権2017　男子FS》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す