８３７話 ページ4
結弦《ねえA。……ごめんな》
｢え、なにが？｣
突然謝られて、何か結弦が謝るようなことあったっけ？と考えるけど思いつかない。
結弦《全日本、もしかしたらAにはつらい思いをさせるかもしれない》
｢辛い思い……？なんで？｣
結弦《付き合ってることを公表したばかりで、きっと心の整理がつかないまま会場に観に来る人もいると思うんだ。そこでAに対して、あからさまに嫌悪感を示す人もいるかもしれない》
自意識過剰かもしれないけど、と結弦は笑うけど。
きっと前に私が言ったことを気にしてくれたんだろう。
『ファンだって嫉妬する』
フランスで強化部長を交えて話をしていた時に、私が結弦に言った言葉。
｢結弦。私は大丈夫だよ。フランスで話をしたときよりも、強くいられる自信はある。結弦が私のことを思ってくれてるって分かるから、頑張れるよ｣
結弦《……》
｢結弦？｣
結弦《ごめん。ちょっと、》
｢え、結弦泣いてるの！？｣
電話越しにグス、と鼻をすする音が聞こえて、結弦が泣いてるって分かった。
なんだろ、体調悪くて弱気になってるのかな。
結弦《Aが泣かせたんだよ。……俺、Aのこと好きになって良かった。体調悪くなかったら今すぐAの部屋に行って抱きしめるのに》
｢じゃあ、頑張って早く治してね！待ってるから。結弦が抱きしめてくれるの｣
結弦《うん》
｢結弦、喉痛いんでしょ？あんまり喋ってたら悪くなっちゃうよ。今日はもう休もう？｣
結弦《そうだね。Aは明日から練習でしょ？頑張れ》
｢ありがと。絶対王座奪還してみせるから｣
去年はお母さんのこともあって、100％の力を出しきれなかったけど。
今年は調子も上向いてるし、表彰台の一番高いところにあがるんだ。
結弦《おまじない、してあげられないけど……Aならきっと出来るよ》
｢大丈夫！結弦のその気持だけで嬉しいよ。結弦もお大事にね｣
元気になったら、また会おうね。
電話越しにそう約束をして、結弦との会話を終えた。
｢インフルエンザかあ……｣
このタイミングでってことは、きっと試合に出るのは厳しいだろうな……。
結弦が出られないのはちょっと残念ではあるけど、私は私のやるべきことをやらなくちゃ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 762人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優里奈(プロフ) - アベルさん» 今後のことは色々考えているみたいですね(^^)どんなことをやってくれるのか楽しみです！まだ少し気持ちの整理がつかないけど、ここの更新も、相変わらずゆっくりだと思いますが少しづつ続けていきますね(^_^) (2022年7月20日 6時) (
レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
アベル(プロフ) - ゆづくんらしい会見でしたね。もう競技をしてる姿が見れないってなると寂しさが込み上げてきますが今後の活動をうっすら聞いて今は期待と楽しみに満ちています。どうか連載続けてください。私は待ってます (2022年7月19日 22時) (レス) @page17 id: e570546693 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優里奈 | 作成日時：2022年7月6日 21時
