氷上で煌めく太陽１１

５１７話 ページ26

『１ヶ月に渡り全国で開催されたアイスショーで、加賀美と安藤の間にはずっと不穏な空気が漂っていた』

『スタッフによると、ショーで共演していたハビエル・フェルナンデスのことで揉めているようだった』

『安藤が加賀美の練習の邪魔をしたり、共演者やスタッフに悪口を言っていた。それに対し加賀美が鬼の形相で安藤を睨みつける場面も』

『一方、加賀美とともにカナダでトレーニングをしている羽生は、共演者に対して加賀美のフォローを入れるのに必死』



このへんはまあ、百歩譲って目を瞑るとして。
問題はここからだ。


『スタッフやショー関係者への取材によると、加賀美と安藤はフェルナンデスを巡るライバルだという』

『ハビエルの気を引こうと、加賀美はリハーサル中もハビエルにべったり。その様子を遠くから見ていたのは羽生で、彼は加賀美に想いを寄せているもよう』

『ハビエルと安藤は交際宣言済み。ハビエルに想いを寄せる加賀美。その加賀美に好意を抱く羽生という、オリンピックチャンピオンが一方通行の恋というまさかの展開に』



インタビューでも無駄に疲れたのに、余計に疲れる……。
スタッフとかショーの関係者って誰だよ。変なこと言わないでよ。

もう、目眩がしそう。


｢はあ〜……これって、いつ出たニュース？｣

佳菜子｢えっと……一昨日だって｣


佳菜子ちゃんはネットニュースの日付を確認して教えてくれた。
そっか。それならそうだよね。
やんわりと探りを入れたくもなるよね。

ていうか、大会直前にぶっ込んでくるってどうなの……。

いや、私が動じないで試合すればいいだけなんだけど。


それにしても、この四角関係は面白いわ。

ゆづくん→私→ハビ→美姫さん、の一方通行。
合ってるようで、微妙に違う(笑)


佳菜子｢で？本当のところはどうなのさ？｣

｢え？｣

佳菜子｢美姫ちゃんとAちゃんの仲、カナもアイスショーで見た時から気になってたんだよねー。ゆづにも聞いたりしたんだけど、結局どうなったの？｣


ああ、美姫さんとの関係のほうね。
ゆづくんとのことを根掘り葉掘り聞かれてるのかと思ってドキッとしたわ。

てか私、一人で意識し過ぎ……？
これじゃ逆に怪しまれるかも。


佳菜子｢Aちゃん？おーい？｣

｢あっ、うん！美姫さんとはね、大丈夫！ハビを通して和解したよ｣

佳菜子｢そっか！それならよかった。……で？ゆづとはなんもないの？｣

｢えーっと……｣


ゆづくん、私はどうしたらいいですか。

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