氷上で煌めく太陽１１

５１６話 ページ25

練習の前に、テレビ局のインタビューを受ける。

インタビューブースに入ると、お願いします、と一礼していくつか質問を受けた。


《オリンピックチャンピオンとして挑むシーズン、先日のファイナルでは見事な演技を披露して連覇を成し遂げました。全日本も連覇がかかっていますが、今の気持ちを聞かせてください》

｢ファイナルのときもだったんですけど、この大会も連覇を目標とはしていなくて、目の前の大会をしっかり勝ち切るという気持ちで挑もうと思っています｣

《同じクラブで練習に励む羽生選手とはオリンピックから世界選手権、グランプリシリーズと今年行われたすべての大会で表彰台にあがっていますが、お二人で表彰台を目指そうとか、そういった話はするんですか？》

｢あー、まあ。最高の演技をしようねとはいつも話してます｣

《そうなんですね。それがお二人のスケートの原動力になってるのでしょうか？》

｢それは……どうでしょうかね(笑)分からないですけど、そういう仲間がいるのは心強いですね｣

《羽生選手も同じ気持ちなのでしょうか？》


・・・・・・。


この人、なんでやたらとゆづくんを絡めた質問をしてくるんだろ？
今までもそう言うことはあったけど、ここまでグイグイ来るのは初めてかも。

え、まさかもうバレた！？

……んなわけないか。


｢それは私じゃなくて羽生選手に聞くのが正解だと思います(笑)｣


一瞬動揺しそうになったけど、できるだけ冷静に答えてインタビューを終えた。



あー、なんか練習前にすごい疲れた。

肩をぐるぐる回しながら歩いていると、離れた距離でも分かるくらい笑顔で手を振る佳菜子ちゃんを見つけた。


｢佳菜子ちゃん！｣

佳菜子｢Aちゃ〜ん！１ヶ月ぶり！なに？どっか行ってきたの？｣

｢さっきまでインタビュー受けてた｣

佳菜子｢そのわりにはなんか……お疲れ気味？｣

｢うーん……やたらとゆづくんを絡めた質問をされてさあ｣

佳菜子｢だろうね(笑)今めっちゃタイムリーな二人だから｣

｢どういうこと？｣


まさか本当に付き合ってんのが知れ渡ったとか？
ドキドキしながら佳菜子ちゃんの返事を待つ。


佳菜子｢これこれ。『加賀美Aと安藤美姫、スペイン人スケーターを巡り犬猿の仲！羽生結弦も加わり四角関係に！？』｣

｢……は？｣


佳菜子ちゃんから聞かされた内容は、予想の遥か斜め上をいくぶっ飛んだものだった。

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