515話《全日本選手権2014》 ページ24
「さっむ……」
結弦「そりゃ冬だもん。ほら、いくよ」
長野に着いた翌日、会場に着いてタクシーを降りると、突き刺さるような冷たい空気に思わず肩をすくめる。
私が寒さに震えてる間に、ゆづくんはテキパキとタクシーの荷台からおろしたスーツケースを引いて持ってきてくれた。
「あっ、ごめん。ありがと」
結弦「こんなのどうってことないよ。受け付けあっちだって。行こ」
颯爽と歩くゆづくんの後ろを追うように、私も受付へと向かう。
うーん。
ゆづくんの後ろ姿、カッコいいな。
ダウンを着てても肩ががっしりしてるのが分かるし、背中が意外と大きい。
「細いけど、やっぱ男なんだな……」
結弦「なんか言ったー?」
「いえ!なにも!」
なんで敬語なの、と笑うゆづくんにヘラッと笑って返す。
やばいやばい。
マスクしててよかった。危うくニヤけてるのがバレるところだった……。
会場となる長野ビックハットの入り口には、選手の到着を捉えようと数台のカメラが待ち構えている。
当然、私とゆづくんもカメラに抜かれるわけで。
ゆづくんはカメラなんて気にしないでスタスタと歩いていくけれど、私はペコリと頭を下げてゆづくんのあとをついて行った。
いつも二人一緒に会場入りしているけれど、今回は付き合い始めて初めて一緒の会場入り。
誰もその事実は知らないのに、一人でソワソワしてしまった。
結弦「Aちゃん、なんでそんなに落ち着き無い感じなの(笑)」
さっきから挙動不審になってるよ、と笑うゆづくん。
「なんで分かるの……。ゆづくん背中に目でも付いてるの?」
結弦「んなわけないじゃん(笑)あんだけソワソワしてたら、嫌でも視界に入るし(笑)」
「だってさ、私達、周りからどんな風に見えてるんだろって思って」
結弦「え?羽生結弦と加賀美Aでしょ?それ以外になんかある?」
「いや、そうなんだけど……」
結弦「……なんなら、みんなの前で手繋いで歩く?あ、あとほっぺにチューとか」
「は!?」
結弦「冗談に決まってんじゃん(笑)」
大胆な提案に驚く私に、さすがにそこまではしないよー、とケラケラ笑うゆづくん。
もしかして、私からかわれてる……?
「ずいぶん余裕ですね……」
結弦「んー?愛されてるから心が満たされてるのかも?」
たしかにそうかも。
じゃなくて!
頑固とかわがままとは違うけど、昌磨くんの言ったとおり、私はこんな感じでこれからもゆづくんに振り回されるんだろうか……。
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優里奈(プロフ) - エミルさん» 嬉しいお言葉……ありがとうございます(*^^*)付き合いたてってこんな感じかなあ……?なんて考えながら二人を動かしてます(*>_<*) (2021年10月3日 6時) (レス) @page21 id: bb1624f74d (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 初々しい二人の好きが溢れていて、可愛いカップルですね!こちらも幸せな気持ちになります(*´ω`*) (2021年10月2日 23時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - らっきさん» わー!ありがとうございます(≧∇≦)らっきさんの作品も楽しく読ませて頂いてますよ〜(*´ω`*)2人がくっつくまでの前置きが長すぎましたね(^ω^;) (2021年9月24日 22時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - こんばんは!いつも読んでます(*^^*)ついに、2人のお付き合いが始まりますね!更新頑張って下さい! (2021年9月24日 21時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - エミルさん» 私も書いていてドキドキしてました〜!一途なゆづくんに春よ来い!ですね( *´艸`)頑張って続き書いて行きます(p`・ω・´q) (2021年9月23日 23時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優里奈 | 作成日時:2021年9月23日 22時