472話 ページ31
エキシビションもバンケットも難なく終えて、私はトロントへ帰ってきた。
今日は時差ボケの調整もあって練習はお休み。
夜、ご飯もお風呂も済ませて部屋で一人考えるのはゆづくんのこと。
ゆづくんは日本に帰った後すぐに精密検査を受けて、顔と顎に切り傷、お腹と左足は打撲?……よくわかんないけど痛めてて、右足の関節は捻挫って聞かされた。
足が……。
両足、痛めてるじゃん。
ゆづくん、そんな状態で4分半も演技してたの……。
しかも全治2〜3週間って、3週間後はちょうどNHK杯が始まるけれど……。
ゆづくんは出場するんだろうか?
もしかしたら、欠場なんてこともありえる。
いや、衝突の怪我を押してでも出場したゆづくんだもの。
簡単に諦めるわけないよね。
だけど無茶はしてほしくないな……。
ぐるぐるといろんな考えを巡らせていると、タブレットがスカイプの着信を知らせた。
「あっ!ゆづくんだ!」
タイムリーな人物からの着信にちょっと驚きつつスカイプをつなぐ。
結弦《あ、Aちゃん。やっほー》
「や、やっほぅ……」
ゆるーい喋りかたで、ヒラヒラと手を振るゆづくん。
まるで怪我なんてしてないかのような振る舞いに、この人は本当にあの衝突事故の当事者だろうかか?と疑ってしまう。
結弦《Aちゃん。エキシビション観たよー。めちゃくちゃかっこよかった!》
「ありがとう……」
結弦《あの、時々出てくる挑発するような感じの表情、今まで見たこと無くてドキッとしちゃった(笑)俺、あのAちゃんだったら、会場じゃなくてテレビでじっくりみたいかも……》
表情のアップもよく見えるし?なんてご機嫌でエキシビションの感想を伝えてくれるゆづくん。
おしゃべり好きなのは知ってたけど、今日はえらくテンションが高い気がする。
「ゆづくん、なんかいいことあった?」
結弦《え?なんで?なんもないよ?》
「だって、やけにご機嫌なきがして……」
結弦《んー……だとしたら、画面越しでもこうしてAちゃんに会えたから、かな?》
「え?」
それだけ?とポカンとしていると、ゆづくんがフッと小さな笑みを浮かべる。
結弦《心配掛けてごめんね?カナから聞いたよ。Aちゃんが、泣きそうなの堪えて俺のこと心配してたって》
「あー、うん」
結弦《泣かせるつもり無かったんだけどなあ。だから、今日はAちゃんの笑顔が見たくてこうして連絡したってわけ》
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優里奈(プロフ) - エミルさん» 書いててちょっと(ほんのちょっとだけど)辛かったですー(:_;)やっぱり仲良しの二人が好きなので(^^)ここからはどんどん話が進んでいく予定です♪時間が許す時は、どんどんお話書いていきますね! (2021年9月5日 22時) (レス) id: bb1624f74d (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 主人公に厳しい展開にハラハラしましたが、羽生くんと仲直りできてよかったです(*´ω`*) 更新楽しみにしていますね。 (2021年9月5日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優里奈 | 作成日時:2021年9月4日 11時