40話 ページ42
フィンランディア杯、ゆづくんは見事優勝、私は3位で銅メダルだった。
やっぱりゆづくんは凄い。
フリーで4回転トゥループとサルコウをきれいに決めた。
当たり前だけど、私が去年の全日本で決めたものとは比べ物にならないくらい完成度が高い。
そんなゆづくんの演技を見て、私ももっと頑張ろうってやる気が出てきた。
結弦「お疲れ様。気をつけて帰ってね」
「はーい。じゃあ、またどこかで」
結弦「どこかって(笑)順当に行けば、全日本じゃない?Aちゃんグランプリシリーズは出ないでしょ?」
「そうですね。じゃあ……全日本で会いましょう!」
試合が終わって、私達はヘルシンキの空港にいる。
ゆづくんはトロントへ、私は成田行きで、私のほうが搭乗時間が早いため見送られる形に。
結弦「あ!ちょっとまって!」
「ん?どうかしました?」
結弦「記念に一緒に写真撮ろうよ」
そう言って、ゆづくんは携帯電話をポケットから取り出した。
「記念って……なんのですか?」
結弦「えー!そこ聞く?!お互いにメダル獲得した記念!」
「ああ…なるほど」
結弦「冷めてるなあ〜(笑)」
や、私からしたらゆづくんの女子力にびっくりですよ。
私は事あるごとに「写真撮ろ〜♪」なんてやるタイプじゃないから、そんなの全く思いつかなかったもん。
結弦「あ、あと、友達になった記念も。ほら、Aちゃんこっち来て」
ゆづくんは、こっちだよと自分の隣にくるように催促する。
なんか、すごく楽しそうにしてるゆづくんを見たら笑えてきて、楽しまなきゃ損かなって思った。
結弦「ブライアン!ちょっと写真撮ってくれる?」
ブライアン「OK!最高の笑顔で頼むよ」
ゆづくんは私の顔の高さにあわせて少し屈むと、両手でピースサインをしてカメラの方を向いた。
じゃあ私も……と、ゆづくんと同じようにダブルピース。
ブライアン「……いいね!素敵な一枚が撮れたよ!」
結弦「どれどれ?おおー……ブライアン、写真撮るの上手だね」
「見せて見せて!」
そこに写るのは、とびきりの笑顔の私とゆづくん。
ゆづくんの首から下げられている金メダルが、少し反射して輝いている。
「いいなあ、金メダル。私ももっと練習して上手になって、金メダル取れるように頑張ろ」
結弦「俺も。やるからには1番を目指したい。いつか一緒に金メダル取れたらいいね。いや……」
『取れたら……じゃなくて取ろうね』
そう約束をしてフィンランドを後にした。
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作者名:優里奈 | 作成日時:2021年4月13日 22時