2話 ページ3
《加賀美、トリプルアクセル決めたー!》
《完ぺきな演技!本人もガッツポーズです!》
《加賀美A、13歳!世界ジュニア初出場で堂々の銀メダル!》
あの「羽生くん」の動画に衝撃を受けてから、今まで以上に練習を頑張った。
技術はもちろん、表現力とか、体作りも。
羽生くんのようになりたくて、あんなふうに優雅に、でもかっこよく舞いたくて羽生くんの演技動画を見まくって研究した。
その結果の銀メダル。とっても嬉しかった。
練習はきついこともあるけど、今はスケートが楽しくてしょうがない。
真奈「Aおはよう〜!」
「真奈!おはよー!」
世界ジュニア選手権から帰国して、久しぶりの登校。
親友の真奈が、いつもの待ち合わせ場所で待っていてくれた。
真奈「A、世界選手権銀メダルおめでとう!結果聞いたときお母さんと抱き合って喜んじゃったよ!」
「真奈ありがとー!真奈にそう言ってもらえて嬉しいっ」
興奮気味にギューッと私に抱きつく真奈は、私の良き理解者。
小5のときの同じクラスになったことがきっかけで仲良くなった。
その頃からスケートで結果を出し始めていた私は、学校から特別扱いされている、と同級生からは疎まれる存在だった。
それでもいい。
スケートのほうが大事。
そう思っていた私に、真奈は声をかけてくれた。
あっという間に意気投合して、スケートをしている私のことも理解してくれてる。
大事な、大事な友達。
真奈「Aが尊敬してる……羽生結弦だっけ?あの人も2月の大会でメダル獲ってたよね」
「そうそう!四大陸選手権!私も羽生くんのように、世界でバンバン結果出せるスケーターになるよ!」
羽生くん、なんて馴れ馴れしいかな?
でも、あまりに凄すぎて遠い存在に思えて。
時々夢の中の存在なんじゃないかと思うくらい。
いつか……会えるかな?
私も、羽生くんと同じ舞台に立てるかな?
いや、立つんだ。
絶対に。
ーーーーーーーーー
3月11日。
翌日に控えていた卒業式のため、1年生の私達は会場の準備に追われていた。
その時だった。
日本中を、感じたことが無いくらいの大きな揺れが襲ったのは。
私が住んでいるところは大きな被害は無かったけど、テレビで流れる映像に言葉を失った。
そして、ノービスの頃から仲良くしていた仲間との永遠のお別れとなった日でもあった。
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作者名:優里奈 | 作成日時:2021年4月13日 22時