氷上で煌めく太陽 (ページ45)

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４３話ページ45

全日本選手権２日目。女子ショートプログラムと男子フリーの日。

女子の１位は明子さん。真央ちゃんは２位で私は４位だった。

男子のフリーを見たかったけど、明日は女子フリーがあるし、部屋でおとなしく休むことにした。
試合はテレビで見ようっと。

シャワーを浴びて髪の毛も乾かして、ストレッチをしながら男子のフリーを観る。
最終グループの６分間練習までもう少しというところで、誰かが部屋のドアをノックしてきた。

｢はーい！｣

真央｢Aちゃん、真央だよー。カナもいる｣

二人ともこんな時間にどうしたんだろう？
どうぞー、とドアを開けると、急にごめんね〜と二人が入ってきた。

真央｢カナがさ、どうしてもAちゃんと一緒に男子フリーみるって言って。私も巻き添え(笑)｣

佳菜子｢そう言いながら真央ちゃんだってノリノリだったじゃ〜ん｣

｢いいよ(笑)一緒に見よう。もうすぐ最終グループはじまるよ｣

みんなでベッドに座ったり寝転んだりして、すごいくつろぎモードで試合観戦。

真央｢そういえばさあ、｣

もうすぐ小塚選手の演技が始まろうとしてるとき、真央ちゃんが不意に話し始めた。

真央｢Aちゃん、いつのまにゆづと仲良くなったの？｣

｢え？｣

真央｢今日、ゆづのこと『ゆづくん』って言ってたでしょ？私の記憶だと、『羽生選手』って呼んでた気がしたんだけど｣

佳菜子｢えー？なになに？！カナそれ知らない！｣

真央｢カナは寝ててその場にいなかったでしょ。で、ゆづはゆづで『加賀美さん』じゃなくて『Aちゃん』って呼んでたし。私達の知らないところで、何があったのかなー？って｣

佳菜子｢えー！Aちゃんとゆづ、いつのまに？！｣

｢何かって……何もないけど｣

佳菜子｢嘘だあ！もしかして付き合っちゃったりしてんの！？｣

｢えー！佳菜子ちゃん、話が飛躍しすぎ！１１月の大会で一緒になって、ゆづくんが他人行儀なのが嫌って言うから名前で呼ぼうってことになっただけだよ｣

佳菜子｢本当〜？｣

｢佳菜子ちゃんが期待するようなことはな～んにもないから(笑)｣

佳菜子｢なんだ〜。つまんなーい｣

残念がる佳菜子ちゃんに、真央ちゃんは｢こづくん始まるよ！｣と言ってこの話題は終了。
佳菜子ちゃんの芸能記者ばりの食いつきにはちょっとびっくりしちゃった。

男子フリーは高橋選手が１位。
最終滑走のゆづくんは２位で、トータルで上回ったゆづくんが優勝した。