ランドセル ページ7
あの衝撃の事件から2年。
いやはや、時間が経つのは早い。
今やチビ助はあの舌っ足らずな喋り方ともおさらばし、背中にはピカピカのランドセルを背負っている。
明らかに私の時よりサイズが大きくなっているランドセル。
チビ助は背が高い方ではあるが、それでもなんだか、かたつむりのようなシルエットだ。
｢にしても、また随分とシンプルなランドセル選んだんだなチビ助。｣
そう、15年前からは考えられもしないような、派手なランドセルが増えたこのご時世。
なのに、チビ助のランドセルはキャラメルっぽい茶色1色、縁どりの色もワッぺンもなく、中は緑と青で暗めのチェック柄。
ハッキリ言えば、とてもシンプルかつ地味だ。
｢お姉ちゃんのランドセル、こんなのだったんでしょ？｣
｢あー、まあこんなだったな。｣
高学年になっても飽きないように、と親から釘を刺されまくって、結局茶色にしたんだったか。
それでも当時茶色は珍しく、学年には私含め2人しかいなかった。
｢…もしかしてチビ助お前、お揃いにしたかったのか？｣
｢本当はお姉ちゃんの使ってたランドセルが良かったけど、おばあちゃんとかが新しいの買えって言ったから…｣
ナイス婆ちゃん、正直あんなシワシワボロボロのランドセルを使われるのは私も心が痛い。
まあ姉貴のよりはマシだが、それでも形若干崩れてるし、今のランドセルより容量が少ない。A4フラットファイルがギリギリ入らないサイズだ。
｢お、おう、そうか……大事にしろよランドセル。最近のは性能も凄いらしいし。｣
｢うん、大事にする。ベルお姉ちゃんとベネッタお姉ちゃんにも見せに行きたいから、着いてきてくれる？｣
チビ助の実の姉はベルなのだが、どうやらこいつの中での＜お姉ちゃん＞は私らしい。
なんでか理由を聞くと、自分の1番近くにいる姉は私だから、とキョトン顔で答えた。
それを聞いたアイツは膝から崩れ落ちていた。
｢ん？まだ見せてなかったのか。｣
そう聞くと、チビ助は少し俯いて顔を赤くしながら
｢お姉ちゃんに1番に見て欲しかったんだ。｣
と笑った。
相変わらずこいつはあざとかわいい。ずるい。
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お豆腐(プロフ) - みんなかわいい、イライくんのお母様もぎゅーしたい、めちゃくちゃ癒されました(*^^*) (2020年8月2日 1時) (
レス) id: 4dd9818095 (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - この小説のノートンめっちゃ好きです……神作品をありがとうございます！ (2020年4月19日 10時) (レス) id: 721952ce66 (このIDを非表示/違反報告)
青海波(プロフ) - セサさん» コメントありがとうございます。ほっこりして頂けて嬉しいです。 (2019年8月20日 20時) (レス) id: 38cf9ad071 (このIDを非表示/違反報告)
セサ - 見ていて,凄くほっこりします｡読んでいて、とても癒されます。 (2019年8月18日 23時) (レス) id: 5854977ea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青海波 | 作成日時：2019年7月29日 2時
