家系能力 愛 【魔入間】

data.5-3 ページ28

**





あまりにも、それは魅惑的だった





欲しい 欲しい 欲しい 彼女が欲しい
手に入らないと思えば思うほど、比例するように欲は増す一方

どうにも寝付けずに一人で夜風に当たっていたところ、ハニエル･Aも眠れなかったらしい ちょうど出くわした





ああ、ツイている





彼女にとってはとんだ悪運なのだろう
さっと顔を青くして戻ろうしている

その一瞬を、アミィ･キリヲが逃すわけが無い





「ふふっ、取って食べるわけやないんやから...
そう逃げんでええやん。な？」




サラリと絡まりを知らなそうな髪を手に取る

如何にも 貴方を警戒しています と言わんばかりの態度
嗚呼＿＿＿目の前の可愛らしい悪魔をどうしてくれようか

キリヲが顔を近づけるとあからさまに不服そうに、不愉快そうに顔を顰め、逃げるように言葉を紡いだ







「逃げてるわけじゃないです。ただ...思ったよりも夜風が冷たくて、このままだと風邪を引くのではないかと」







先輩も戻りましょう、と手を引かれる
男の自分と、女の彼女の手だとあまりにも大きさが違う。小さく可愛らしい手が自分の手の中にある

彼女はどんな顔で絶望するのだろう
その綺麗な顔面をどう歪ませるのだろうか







「んーー、それもそうやねぇ」





「...ちょ、あの、離してください」




「あーーなんか体震えてきたわぁ。一人じゃ戻れそうにない、これはあかんわ...！」




「ガキですかあんたは」






呆れたようにため息をついた後、渋々手を繋いだまま引かれる

最初の頃なら無理やりにでもこの手を剥がして帰るであろう、今の彼女はあまりに優しい 優しすぎる
弱点だらけの、弱々しいハニエル様の姿

今ならば手篭めに出来なくもない


堕ちるまで拷問にかけるのもいい
今の彼女ならウァラク･クララをヒト質にとれば終わりだ





「(堕とすのも、ええけど)」





堕ちてきて貰わないと困る
自ら身を捧げ、地に堕ちて貰わないと

どれだけていのいい悪魔だろうが本質は全ておなじ
残虐性がないはずがない



自分の意志で堕ちてこい





今の彼女も綺麗やけど
堕ちたハニエルは更に綺麗なんやろうなぁ


その時が待ち遠しい






「少し痛いんですが」





「綺麗やなぁ」



苦痛に歪む顔が





「はあ...」



変なヒト




┈┈┈┈┈

そういえば前話のアホクララ呼びは後々に出るとこですね！
感動シーンを一つさらっと潰してるとこに震えが...訂正致しました(2023/08/15)

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←data.5-2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す