家系能力 愛 【魔入間】

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あ、哀しそうな色




最近になってようやく彼女は感情らしい色を示すようになった
それはオキニイリ...ウァラク･クララさんのお陰だろう、彼女はクララさんを見ている時にだけ、それらしい色がつく
それ以外は 俺にはよめない色

ほんとにクララさんがお気に入りらしい





そんな彼女は、今どうしてか哀しい色をしていた




視線の先にはクララさんがいるものだと思っていたけど
どうにも違うらしい

クララさんらしき影は見当たらない
なら、どうしてそんな哀しい色をしているのか
じっと視線の先を辿ると...






「..理事長？」






理事長と、その孫の鈴木入間くんの姿
仲良さそうに喋っている


相変わらずの孫バカっぷりだな...




よく見れば、Aさんの表情は少し寂しそうに見えた
家族が恋しいのだろうか

それとも、どちらかに何らかの感情を持っているのか



いや、いやいやいや後者は無いだろ。だってそれなら理事長か入間くんに最初の恩恵が授けられるはずなんだから
少し考えすぎか

どうにも思考が乱される
色がどんどん濃くなっていく彼女を、見てられなくて






「Aさん」





つい話しかけてしまった
君があまりにも寂しそうにしているから

不意打ちで話しかけたからか、少し目を見張って振り向いた





「ツムル先生」




「大丈夫？」




「...ああ。もしかして、先生の目には私が可哀想に映っていますか」




同情心に気づいたのか、首を傾げてこっちを見ている
もしかしたら地雷を踏んでしまったのかもしれない。ここは謝るべきかー.....間違えたな、なんて思って

どうにも次の言葉を探していると





「先生は、優しいんですね」






ふ、と彼女は眉を下げて少しだけ微笑んだ
微笑んだとも言えるかどうかの、ほんとに僅かな表情の違い

笑うと尚更、きれいだなー...




「あ、はは...生徒を見るのは教師の役目だよ
さっきのAさんはどこか寂しそうに見えたけど｣




あまりに綺麗な微笑みに見蕩れてしまったことを隠すように、ベラベラと言葉を紡いでいく
寂しそうだなんて口にした後にあ、しまった本人に言ってしまった。なんて





「それは、......ツムル先生の気のせいです
それに、寂しかったら先生の元に行ってお話しますから」






だから、大丈夫
そう言いたげな彼女に それ以上はもう何も言えなかった


どうしてここの生徒は弱音を吐けないのかねー...

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