【江戸川乱歩】何故か事務員の私が名探偵様に揶揄されている

名探偵の推理 ページ7

*


「此れを見て。」


乱歩さんは、私にカードのような物を差し出した。.......殺された男の、顔写真？？ 顔写真の隣には、ポートマフィアと記されている。証拠品か何かだろうか。


「其れ、此処で拾ったんだ。だから、警察からの証拠品ではないよ。ならば、何故警察は、殺された男がポートマフィアだと判ったのか。」


だからか。乱歩さんはこのマフィアの証明書を探す為、人気のない路地裏などを探っていたのか。警察の捜査で見つからなかった証拠品を。


「何故、マフィアだと警察が断定したかは、後で話そう。先ずは、芥川とやらの居場所だ。カードは此処に落ちている。ってことは、そう遠くにはないない。」


「た、確かに.......。あ、でも其のカードを持ち帰るってことは、見られたくないってことですよね？ マフィアだとバレたくないということも......」


何でカードを処分しなかったのだろう。態々(わざわざ)そのまま持って帰ろうとするなんて......


「そう。そして、警察がマフィアだと断定した理由。勿論、芥川の攻撃に似ていたということ。もう1つ.......」


そう云って、乱歩さんが人差し指を立てた。


「通報があった。マフィアの男が殺されているって。誰が其の男がマフィアだと判る？」


「それは......マフィアの者だけ.......！ という事は.......」


これは.......まさか.......。乱歩さんもコクリと頷く。


「通報したのは、芥川本人。カードも故意に落とした。......探偵社をおびき寄せる為の罠だ。」

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