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「僕が育てた子達は被害にあったことないんだけど、流した涙が結晶になってできる宝石が "天国の涙" なんて言われてね。宝石商やら宝石マニアが買ってもいないのにどうにか泣かせようとお店で乱暴したことがあって。それからかな。めっきり流通しなくなったのは。」
「そんなことが……」
「見てみるかい？」
「え？」
「僕が初めて作った
皆が躍起になって探していたというたいそう貴重な宝石を見せる気満々なバンさんが取りに行こうと立ち上がった。が、向かうための足はすぐに動かない。
隣のスンミンが服の裾を控えめに引っ張っていたためだった。
「……と、その前にご飯だったね。」
ごめんごめん、忘れてはなかったんだよ、と言うバンさんは謝っている割に笑顔で。スンミンの頭を優しく諭すように一撫でし、ちょっと待っててね、と彼にも私にも伝え、冷蔵庫へと向かっていった。
その間、向かいあわせで待つこととなった彼を見遣ると、心做しかむくれた表情をしていた。分かりやすく誤魔化したバンさんの発言が気に食わなかったのだろう。
未だに夢見心地な頭だが、この子にはちゃんと感情がある、と再確認するには十分なものだった。
「お待たせ、スンミンは飲んでいて。その間に持ってくるからね。」
大丈夫だと思うけど一応見ててあげて、とスンミンにマグカップを手渡した彼は私にそう言い残し、部屋の奥にある階段を上っていった。
先程はそう離れていない場所にバンさんがいたが、今は
何か話しかけてあげるべきなのだろうか。
考えあぐねているうちに、向かいの彼は両手で大事そうに持っているマグカップに口をつけ、こくりと嚥下していた。
「何を飲んでいるの？」
バンさんは "食事" と言っていたが、彼に手渡されたのは明らかに飲み物で、到底お腹が満たされるとは思えない。
ただ、聞いてから自分がこの子をすっかり人間の子供だと思ってしまっている事に気がついた。
感情があるとはいえ、発声はできるのか。
現状は理解出来たものの、"人間の子供" と"
バンさんに話しかけられても返事がないことを考えれば、声帯がないのかもしれない。仮に話せたとして、彼は高貴な
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作者名：not found | 作成日時：2024年3月15日 2時
