かふぇおれ (ページ6)

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さとひらページ6

・(平野紫耀×佐藤勝利)

「……」

無言の松島に背中をさすられて

ハンカチを渡された。

涙を拭き終わるころには

ステージに紫耀の姿はなかった。

終わってしまったんだ。

どうせならちゃんと見ておけば良かった。

そんな風に思っていると

ずしりと背中が重くなった。

「松島、俺今そういう気分じゃ」

「どういう気分なの？」

「へっ？」

松島よりも低く掠れたような声が

俺の耳に届いた。

この声……

顔だけ振り向くとニコニコ笑ってる紫耀がいた。

「どうやった？」

「Hello春色？良いんじゃない？
　後、重いから離れて」

こんな事しか言えない自分が嫌になる。

もっと松島みたいに素直になりたい。

怒っても良いはずなのに紫耀は

「俺の重さは愛やで」

怒ることなく笑い飛ばして来る。

「何それ」

「俺、愛で出来てるから」

「意味わかんない」

でも、もっと意味が分からないのは

紫耀の発言で笑ってる俺だ。

「紫耀、海人達待ってる」

「あっ、ほんま？」

神ちゃんの声で紫耀が俺から離れた。

紫耀って神ちゃんの事が好きなのかな

「あっ、勝利。明日の夕方に事務所におって」

「えっ？」

「紫耀。時間ない」

聞き返そうとしたけど神ちゃんの言葉で

紫耀の表情が変わった。

すごいな、この二人。

俺なんか入る隙間もない

こんな思いをするくらいなら

好きになんてならなきゃ良かった。