#34 ページ33
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他愛もない話をして、それだけなのに驚くほど早く時間が過ぎていく。
「じゃあそろそろ帰ろっか。」
「…あ、待って。」
言いたいことがある。
ずっと気になっていて、言いたかったこと。
「なに？」
「優吾さ、…無理しなくていいよ。」
「え？」
「いや、今日一日優吾らしくなかったなあって思ってね。」
そもそも行き先を水族館にしたことも、私のおめかしをこれでもかってくらい褒めてくれたことも、わざわざキャラメルフラペチーノを買っておいてくれたことも、昼食がフードコートじゃなくお洒落なカフェだったことも。
ずっと全部、引っかかっていた。
「無理、してないよ。」
「ふふ、嘘つき。いいのに、優吾はありのままで。」
「…」
「キャンプだって、山だって海だって。そんなに飾らなくたって、私はいいの。」
「…うん。」
「前だって、優吾とのデートは当たり前に全部楽しかったよ。
だから変わらなくてもいいよ。」
「だね笑」
どこか強張っていた表情も、優吾らしい笑顔に戻っていく。
そうだよ。貴方となら今でも楽しいし幸せって思えるよ。
「俺さ、久しぶりにAと会って、すっごい大人っぽくなっててさ。何も変わってない自分がなんかカッコ悪く思えてきて。」
「そんなことない。私だって中身は変わってないよ。」
「うん。でも焦ってたのかもしれない。」
「そっか、じゃあそれはお互い様だね。」
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作者名：飴宮
| 作成日時：2022年5月12日 18時
