#22 ページ22
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「ジェシーから聞いたかもしんないけど、俺ずっと彼女いないの。」
おかしそうに小さく笑って、目を伏せる。
その表情に意味なんてきっとない、そう信じなきゃって自分に言い聞かせる。
「なんでか分かる？」
「…わかんない」
「Aのことが忘れられないからだよ。」
「…っ、」
苦しそうに笑みを溢す。
そんな顔しないで。胸が苦しくなる。
私だって、忘れられなかった。
忘れたくなくて、でも忘れなきゃいけなくて、
「Aと別れて、全部身の回りのことを自分でするようになってさ。
その大変さ知ったし、Aのことどれだけ傷つけてたかも分かった。」
「…ちがう、」
「え？」
「ちがうよ…」
そんなことどうでもいい。
たしかに苦しかったけど、でもそんなの好きって気持ちで我慢できてた。
「私は、ただ優吾に女の子としてみてほしかった。」
「…え、俺、」
「なんか、気づいたらただの家政婦さんみたいになってて、ただ毎日ありがとうって手伝うよって、少しの言葉が欲しかっただけ。」
「っ、…」
「優吾のために毎日やってきたこと、一つ一つに気づいてほしかった。」
「…ごめ、俺そこまで、ちゃんと、」
「家事やってたことなんて、別に嫌じゃなかったよ。
ただ、優吾からの言葉が欲しかった。」
唖然としている顔。
伝えてればよかったね、そうしたら私達、うまくやれてたかもね。
今更だよって、勝手に自分で完結させた。
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作者名：飴宮
| 作成日時：2022年5月12日 18時
