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「私ね、ご飯作れなくなっちゃったの。」
「え、」
「怖くて。作るのも、捨てるのも」
「…っ」
「優吾のせいじゃないよ、私のせい。
ちゃんと思ってること言えばよかったってずっと後悔してた、ごめん。」
「ちがうよ。謝るのは俺の方だよ、俺なんにも分かってなかった。」
「…」
「あのときも、今も、Aのこと大好きなのに、分かろうともしてなかった。」
いつの間にか、料理を食べる手はふたりとも止まっていて。
優吾を縛り付けてしまったことに、その言葉に、申し訳なくなった。
でも、久しぶりに聞いた"大好き"って言葉に、嬉しくて、気がついたら涙が頬を伝っていた。
「え、まってごめん、俺また泣かせた」
そんな私を見た彼は、慌てて私の濡れた頬に手を伸ばし、親指で拭ってくれた。その行動で更に泣き出す私に、もっと慌てて、困った顔をする優吾が面白くて。
そんな顔久しぶりに見た。
付き合う前、なかなか優吾と付き合うことに踏み切れなかった私に、何度もアピールしてくれて。
その頃、デート中に体調が悪くなった私に水やら薬やらを買ってきてくれて、「後なにすれば良いんだっけ！？」って困った顔して。
それを伝えると、懐かしそうに笑って教えてくれた。
「あのときさ、自分の不甲斐なさ痛感して、それからはカッコつけてたんだよね。
今思うとそれすらカッコわりいよな。」
「ふふ、そうだね。」
「おおーい、今はそんなことないよっていうところ！」
そんなところも好きだった。
言わないけど、でも今もそう思ってるよって心の中で呟いた。
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作者名：飴宮
| 作成日時：2022年5月12日 18時
