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連れてきてくれたのは、付き合っていた頃よく来ていた優吾の行きつけの店。
居酒屋で、堅すぎないその空間が私は大好きだった。
久しぶりの店。
わざわざこの店にしたことに意味はないって、信じたい。
「俺チョイスでいい？」
「うん。」
この会話も懐かしい。
この店に来たときは、私より常連の優吾がおすすめの品を頼む。
ああだめだ、一つ一つのことが全部過去を思い出させてきて、苦しい。
「いきなりごめん、驚いたよね。」
席は個室で、遠くからざわざわした音が聞こえてくる。
2人だけの空間。心臓の音がうるさくて、耳にぐわんと波のような感覚が走って、そんな動揺しまくりの自分に笑えてくる。
「ま、まあ、ちょっとだけ」
ぎこちない自分の言葉。
申し訳無さそうに眉を下げて、小さく笑う優吾に、胸がぎゅっと苦しくなった。
「ジェシーから聞いたんだ。Aと会ったんだよって。」
「そ、か」
「うん、元気そうって聞いて安心した。今もね」
「仕事も楽しいし、私は何も変わってないよ。」
そう、優吾へのこの好きって気持ちも。
何もかも変われてない。
「いーや、変わったね。」
「え？」
「すっごい綺麗になった。
もともと美人さんだったけど、更にね。」
「…ありがとう笑」
あれ、あれ、
優吾ってこんな事言う人だったっけ。
その何気なく言ったであろう言葉に、かあっと顔が熱くなる。その熱を冷ますため、回らない頭のままお酒を煽った。
「今日いきなり誘っちゃったのはね、いつまでもダサい自分をやめるため」
「…え？」
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作者名：飴宮
| 作成日時：2022年5月12日 18時
