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「…なんで、急に謝ったりしてきたの?」
「そ、れは、」
言葉を濁す。
そして、少しの沈黙の末、彩ちゃんはまた口を開いた。
「別れたのは、あのときのこと樹くんに伝わったからで。そのときに「約束しただろ」ってすごく怖い顔で言われて。
それでやっと自分のしたことに気がついたから。」
「…」
「それに、貴方の友達にも怒られたの。」
「…夏未に?」
「冬休みにたまたま駅で会って。『早く謝れ』って言われた。」
…だから謝ったってことか。
でも、なんとなく反省しているようにも見えるし。別にこれから関わるわけでもないし。
ここで許してもう終わりになるならって思って、言った。
「もういいよ。許すもなにもないし。」
「…え?」
「確かにこわかったけど、でも彩ちゃんのこときっと私は無意識に無理させてたんだろうし。…てか、そもそも彼氏持ちと距離近かった私も悪い…し」
「…」
「私は別に彩ちゃんに怒ってもないし、気にしなくていいよ。じゃあね。」
今日は単語テストの日。いつまでもこんなことやってる場合じゃない。勉強しなくちゃ。
言いたいことは言えたし、とその場を離れようとしたら、腕を掴まれる感覚がした。
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作者名:飴宮 | 作成日時:2022年9月11日 17時