桜が降る夜は３ (ページ13)

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懐かしいほんと、と本音が漏れる。

このときから私は樹のこと好きだったのかな。

好きになった瞬間がいつだったかとか、それがあったのかすら覚えていないから、いくら考えたって分からないけど。

「いつか、捨てなきゃなんだよね。」

きっと樹と必然的に会えなくなったら、この気持ちも薄れていく。

時間がある程度経ってしまったら、樹だって私のことなんかとっくに忘れてしまうだろう。

寂しい、とは思う。

でも当たり前だけど、ときは止まることはないわけで。

こうやって、こんなちっぽけな恋心に思い悩んでいる間にも、時間は過ぎて最後の卒業式が迫ってくる。

それも全部、どうしようもないこと。

「A、ごはーん！」

「はーい！」

私がこれから色んな人と出会って友達になって、もしかしたら付き合うことだってあるかもしれなくて。

それと同じように、樹の人間関係はどんどん広がっていくだろうし、新しい彼女だってできるかもしれない。

それを知ることすらできない環境、私には我慢できる？…そういう問題じゃないか。

いつか私だって、樹のことを忘れる日が来る。卒業式で告白したことも、好きだったことも、誰かと懐かしみながら笑い話にする日が来る。

それって少しこわい。

寂しいし、思い出って思ったより呆気ないものなんだなってちょっと思った。

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