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暗いけど、樹がこっちを向いたのが分かった。
なんとなく私は向きたくなくて、そのままは花火を見つめる。
「…A」
「なに?」
「俺、この夢家族以外に話したのAが初めて。」
驚いて、思わず反らしていた顔を樹の方へ向けた。
すると、花火の明るさに照らされた樹の顔が、穏やかで優しい笑みを浮かべていることに気がつく。
細めた目で見つめられて、ドクンと胸が高鳴る。
なんかいやだ、目が離せない。
「そ、なの」
「うん。やっぱ、始めはAかなって」
「…そう。」
なんて反応したら良いのか、分かんない。
でも本当は、物凄く嬉しくて、気を抜いたら今にも頬がだらしなく緩んでしまいそう。
表情を変えない私に、樹はちょっと笑う。
「なんだよ。喜べよ笑」
「はあ?」
「爆モテじゅったんだぜ?」
「…はいはいうれしー」
「おい、棒読みやめろ」
嘘、ぜんぜん嘘。
本当は物凄く嬉しい。あの彩ちゃんより早く教えてくれて、嬉しい。
でも、そんなこと言えない。言ったら、きっとすべて崩れる。
苦しい。言えるものなら、今すぐ好きって言って驚かせてやりたい。なのに、私はそれが許されない。
だからこうやって、幼馴染としてって言う理由がなきゃ、一緒にいられない。
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飴宮(プロフ) - akikumaさん» コメントありがとうございます♡ 楽しみにしててください!🎶 (2022年8月26日 19時) (レス) id: 4bf5f0e073 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - どんな変化が起きるのか…気になる!気になる!続編楽しみにしてます!! (2022年8月26日 18時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴宮 | 作成日時:2022年8月15日 17時