赤が変えてくれた世界で#4 (ページ11)

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北斗side

樹「っ……」

樹は、いきなりこんな形で恋人の余命を告げられてる。

俺がこの立場だったら、とてもじゃないけど冷静になんていられないだろう。

発狂して、のたうち回って、泣きじゃくってるかも。

さっきから体を硬直させてしまった樹。

俺は怖くなって樹の名前を呼んだ。

北「……樹？」

樹「…まだ………まだ俺は適合性の検査受けてないからっ……」

北「え、」

樹「俺、俺っ…検査してもらいに頼んできますっ」

北「え、ちょっ、、付き添うからっ」

ばっと立ち上がって、先生に会いに行こうとする樹に驚きは隠せなかったけど、同時にその樹の強さを思い知らされた。

やっぱり強いな、樹。

俺は既に受付に向かって歩みを進める樹を慌てて追った。

自分が適合しなかったとしても、まだ終わったわけじゃないんだ。

先生に伝えると、すぐにでも検査をしてくれるらしく、樹はそのまま奥へと入っていった。

……ジェシーは、樹がドナーになることを拒否するだろうな。

そんなの絶対ダメって、言いそう。言われそう。

でもそんなこと聞いてたらきっと間に合わない。

申し訳ないけど、ジェシーには樹が適合性の検査を受けたことは言わないでおこう。

俺は樹の検査が終わるのを、待合室で待った。