はなことば -2-【短編集】

喜びを運ぶクチナシ ページ19

オードリー 若林正恭


side若林


「バヤシバヤシバヤシ〜、若林だよ〜」

若林「なにその変な歌…」

「若林の歌。作詞作曲はこの私」

収録後の帰り道、隣でAが変な歌を歌い出した。

俺の彼女でもあるAは変わり者だと言われているが、そんな変わり者に俺は惹かれたみたいだ。

「ねぇねぇバヤシ」

若「いきなり立ち止まるなよ、危ないな…」

「クチナシだよ!」

若(どこが変わり者なんだか…)

「店員さん、この花くだせぇ」

店員「くだせぇ!?」

…前言撤回、やっぱり変わり者だった。

「あ、違った。この花ください」

店員「かしこまりました。少々お待ちください」

奥に行った店員さんを見送った彼女は、外に並べられていた花を1つ1つ見つめていた。

若「急に花なんか買って…なんかあった?」

「サプラーイズ!」

若「言ったらサプライズの意味ねぇよ!」

「…そっか。サプライズって言ったらダメなのか」

店員「お待たせしました!」

クチナシの花束を受け取った彼女は、その花束をそのまま俺に渡した。

若「俺に!?」

「内緒で渡そうと思ってたけど…やっぱサプライズ向かないね」

アハハ、と口を開けてケラケラ笑うAを見ていると、今日の疲れも吹っ飛びそうだ。

クチナシと一緒に喜びを運んできてくれた彼女を、思いっきり抱きしめた。



クチナシの花言葉「とても幸せです」「洗練」

「喜びを運ぶ」「優雅」

祝福のポインセチア→←無視を嫌うガマズミ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す