はなことば -2-【短編集】

便りを知らせるアヤメ ページ11

かまいたち 山内健司


side山内


「山内さん!」

山内「お、Aか!どうしたん?」

「テッテレー!…あ、違う向き逆だ。ロンハーの企画に出演決まりました!」

山「やったな、おめでとう!」

ずっと夢だと言っていた番組への出演。彼女は真っ先に俺のところに報告へ来てくれた。

「相方とも無事に和解出来たし…山内さんには感謝しきれないです」

山「俺はAの背中を押しただけや」

「さっすが山内さん、カッコいい〜!」

山「そんなこと言っても何も出ないわ」

しばらく談笑していると、彼女の相方がドアの隙間から顔を覗かせた。

「あ、これから打ち合わせあるみたいなので失礼します」

山「また何かあったら来るんやで!」

「は、はい!」

バタン、と閉められた扉。

ふと机の上を見ると、彼女が持っていた台本。

山「これ一番忘れたらアカンやつやん!」

ガチャ

「山内さん台本知りませんか!?」

山「さっき届けに行こうとしてたわ」

「ありがとうございます!今度なにか奢りますね!」

山「よっしゃ、楽しみにしとくわ」

「今度こそ失礼します」

慌て者で頑張り屋の後輩から貰った報告。

彼女に渡した台本に描かれていたアヤメの花が、またよい知らせを運んでくれる気がした。



アヤメの花言葉「よい便り」「メッセージ」

「希望」

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