女医さん25 ページ26
ピピピピッ、ピピピピッ
一定に高音の音色がけたたましく耳をつんざく
瞼の上に降る白い光は眩しく、真っ黒だった視界は控えめに発光している
「……うるさい」
ガコンっと目覚まし時計のスイッチを半分苛立ちに任せて押してしまった…低血圧に万歳…
時計が壊れていないことを確認し、仕事へ行く支度を始めた
.
「よお、A」
「中也さん」
おはようございます、と定型文が自ずと出た
“挨拶ってのは裏社会の人間にとっても重要だ
人の脳に色濃く自分を植え付けるにはそれが一番容易いし、相手の性格が見えるからね”
何時ぞやの…あの人の言葉が何故か思い出された
「おい大丈夫か」
目覚まし時計よりも低い音
心地の善い低音に現実世界へと戻される
「えっ。あ、はい。大丈夫です
少し昔のことを思い出してまして…」
「お前、体調悪いなら休め
最近詰め込み過ぎてるだろ?
目の下に隈つけた女医なンて、笑いモンになるだけだぜ」
「わ、笑いものですか」
だが、医者という者は患者よりも自身の健康を怠る傾向にあるとよく云う
「まあ無理すンなよ」
頭に冷たい革手袋の摩擦がかかる
髪が崩れそうだったが、私はこの感触が嫌ではないらしく抵抗は一切しなかった。彼が来る迄は…
「中也何してるの」
「げっ」
パッと先程の行為を取り消す動き
まるで浮気現場を見られた旦那のような
取り敢えず、現場は極寒の地獄だ
「おはよう、Aちゃん」
「っ、おはようございます太宰幹部
……それでは中也さん、私はこれで失礼します」
あの雰囲気からか、それとも彼から逃げたかったのか私は医務室へと足早に向かった
.
「…手前彼奴に何かしたのか?」
視線を上げ(気に食わねェ)死んだ魚の目をした其奴の面を覗く
太宰はただ、Aの見えなくなっていく背中をずっと見ていた
「…」
「おいコラ、シカトしてンじゃねェ」
「…」
「太宰、聴いてンのか」
「……あぁ…聴いてるさ」
「なら返事ぐらいしろ」
「はあああああい!」
キィンと耳鳴りがして耳を押さえた
ぶん殴ってやろうかと心底思ったが、生憎今日は双黒に依頼がきている
自 殺をする前に怪我をされるのは困る
「さっきの質問の答えを教えてあげよう」
塞がれた耳に入ってきた蚊のような小さな声
それに俺は目を見開いた
(先日、彼女に接吻をしたんだ)
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←女医さん24
113人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あほ毛100%(プロフ) - 五月雨花火さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると本当に有り難い限りです!m(_ _)m 更新頑張ります!! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 04dbcb03e0 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨花火(プロフ) - むっちゃこの作品好きです!更新頑張って下さい!!! (2018年8月17日 21時) (レス) id: 21ac55d013 (このIDを非表示/違反報告)
あほ毛100%(プロフ) - ★★さん» ありがとうございます!そういって頂けて嬉しいです!!これからも頑張ります! (2018年7月4日 9時) (レス) id: 04dbcb03e0 (このIDを非表示/違反報告)
★★ - やっばいおもしろいです!!!更新頑張ってください(´∀`) (2018年7月2日 15時) (レス) id: 5bde35895e (このIDを非表示/違反報告)
あほ毛100%(プロフ) - 純さん» ありがとうございます!大人しめの弱ツンデレが美味しいです(ヨダレ) 頑張らせて頂きます! (2018年6月24日 21時) (レス) id: 04dbcb03e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あほ毛100% | 作成日時:2018年5月3日 19時