【進撃の巨人】 NTEOTW KYHU season3 (ページ9)

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27 絶望① ページ9

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リヴァイによって裂けた腹が綺麗に縫合されていく。丁寧だななんて思いながら、安心感に包まれて目を閉じる。

しばらくすると、壊れ物を扱うような優しい腕に支えられて、少しだけ上体が起こされる。

重たい瞼をゆっくり開けると、身体を支えながら器用に包帯を巻いているリヴァイの横顔が目の前にある。

「優しいね」

そう声を掛けても、返事が返ってくることもその顔がこちらを向くこともなかったが、リヴァイの耳に赤みが増したのは気の所為では無いはずだ。

ドォォォンッ!!

「え…？何？！」

突然の大きな地響きと共に強い揺れを感じる。一体何が起きたのだ、と騒がしくなる。

包帯を巻いている途中だったリヴァイは手を止め、無意識にウィルの身体をしっかりと支えていた。

「壁が壊されたッ！！！」

慌ただしくやって来た兵士の言葉に、一瞬その場にいた全員が止まった。

こんな時に何冗談言っているのだ、と。

しかし、あの恐ろしい音と揺れから、冗談ではないと悟る。

「総員！戦闘準備！！

動ける者は、すぐに準備を始めろ！！」

この場で壁外調査の事後処理を行っていたエルヴィンの指示によって、各々準備を開始する。

一刻も早く、シガンシナ区に向かわなければならないのに、帰還してすぐではガスや刃の補充など準備に時間がかかってしまう。

「リヴァイ、私達も早く準備しよう。」

ウィルは自身を支えたまま固まっていたリヴァイに声を掛ける。
ハッとしたリヴァイは、半ば無理矢理ウィルの身体を倒して寝かせる。

「エルヴィンの指示は‘‘ 動ける者 ’’に対してだ。」

「私はまだ動ける。

こんな時に寝て待ってるなんてできない。」

「それはただの自己満足だろ？」

「シガンシナ区でッ！！

巨人の恐怖に脅えながらも、逃げることしか…逃げることもできない人々がいっぱいいるッ

戦いたい」

そう言って走り出したウィルを見ながら、止めても無駄かと、小さく舌打ちしてリヴァイも走り出した。