26 残酷�� ページ8
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「ウィル、今回の壁外調査はなかなか過酷だったね、大丈夫かい？」
「うん」
「どこか負傷したの？」
「うん」
「え？！どこ負傷したのさ？！」
「うん」
負傷者の処置をしながらハンジが問うが、適当な返事が返ってくる。無理矢理身体の向きを変え、自身の方を向かせるとウィルの顔は真っ青だった。
「ウィル、どこが痛いの？」
「左脇腹、痛い
ハンジ、痛いよ…」
眉間に皺を寄せ、眉を下げ、今にも泣きそうな顔でハンジを見る。左脇腹を抑えている右手を取ると、その掌は赤く染まっている。
「ウィルッ？！血が出ているじゃない！！
ここは任せて、早く治療してもらいな！」
何故、出血するほどの傷を負っていながら本人も今まで気づかなかったのだろう。
ハンジが急いで行くよう促すのに、ウィルは首を横に振り頑なに行こうとしない。
「参ったなぁ…
あ、リヴァイ！！暇ならウィルの手当頼んだ！！」
頭を抱えていると、手持ち無沙汰のリヴァイが通りかかり、ハンジはウィルを押し付けるようにリヴァイに預けた。
「手当？」
「この子ほっといたら、処置しないで動き回りそうだから、よろしく頼んだよ。」
早口に言うとハンジはまた次の負傷者の元へ行ってしまった。
ハンジに押されたウィルはリヴァイに寄っかかるような状態になっていたが、その身体が膝が抜けたように崩れ落ちそうになる。
リヴァイがすかさず支えると、端の空いているスペースまで連れていく。その身体は通常より熱く、高熱が出ているようだ。
「ごめん、ちょっと立ちくらみが…」
支えながら仰向けに寝かせると、ウィルは自身の手を額に当てながら謝意を示す。
返事することなく、真っ赤なシャツを静かに捲ると腹の肉が裂けていた。
「お前いつ怪我した？」
「分からない
…でも、気づいたら痛かった。」
ずっと緊張状態にあったため、微かな痛みしか感じず、悪化させてしまったのだろう。
準備を済ませて縫合を始めようとすると、ウィルが袖を力強く握る。
「なんだ？」
「痛いかな？」
「こんな怪我しておいて、こんな針にびびってるのか？」
目を瞑り歯を食いしばって、訪れるであろう痛みを待ったがいつまでもやって来ない。
恐る恐る目を開けると、もう既にリヴァイは縫合を始めていた。
「痛くない」
「だろうな。
こんな傷で熱まで出てれば、感覚も麻痺してるだろ。」
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作者名：earthn | 作成日時：2022年3月24日 19時
