【進撃の巨人】 NTEOTW KYHU season3 (ページ21)

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29 上官と部下④ ページ21

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「肋骨に、鎖骨、右橈骨…それから、右大腿骨に、後十字靭帯損傷＿＿＿＿」

壁内に戻ると、一番に医者に診てもらえた。
私が一番重症だったから…生存者の中で。

「とにかく今はゆっくり休ませなさい。

…身体も心も」

医者の言葉に静かに頷く。

先程から、全身熱くて勝手に涙が溢れる。
これは生理的な涙で、この高熱も怪我によるものだから仕方ないらしい。

きっと、外では軽傷者の手当やら遺体の確認やら忙しいはずなのに、ここは驚くくらい静かだ。
この静けさが心細くて、怖くてたまらない。
目を瞑っても、息苦しさとあの光景が蘇り、眠れそうにない。静かな部屋に自分の荒い息が反響する。

こんなにも大怪我をすると本来なら中心部の病院等に運ばれるはずだが、何故か私は兵舎の医務室に運ばれた。

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ガチャリ…

あんなに眠れないともがいていたのに、気がついたら眠っていたようだ。

開いた扉から廊下の光が差し込む。

私の記憶よりだいぶ大きいが、よく覚えている手が額に触れる。

「に…ぃさん…？」

ああ、夢か…兄さんがここに来るわけない。

夢ならいいか、わがままいっても。

「兄さん…聞いて…？

私ね…頑張ったんだよ

今日だって、訓練兵の時だって…」

「…うん」

「兄さん…

痛いよ…怖いよ…

人ってあんなにも簡単に死んでしまうんだ」

「…っ！」

「でもね、

私、負けない…

兄さんみたいに強くなりたい…

…だからね…闘うよ」

「強くなるから…だから…

兄さんはいなくならないよね…？」

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こんな時に不謹慎だけど、すごく幸せな夢だ。

兄さんが私のそばにいる。

「兄さん…」

呼びかけに答えるように、ギュッと手を握られる。

その感覚がやけに現実的で、重い瞼をあげる。

壁外調査から帰っきたばかりで、第二分隊長という幹部の一人である兄は、他の兵士達より何倍も忙しいはずでこんな所にいるわけないと思う。

「ウィル」

が、兄はそこにいた。

「あ…れ……？

え…夢じゃない？」

「お前が無理をして強くなる必要はないんだ。

僕は、大事な妹が苦しむ姿を見たくはないよ。」

「お前にはこれまで辛い思いばかりさせてきたのに…

ウィル、‘‘よく頑張ったな。’’

兄さんはずっとウィルの味方だよ＿＿＿＿＿＿＿＿」

翌月の壁外調査＿＿＿

私はまだベッドから立ち上がることができず、帰りを待っていたが、兄がここに戻ってくることはなかった。