【進撃の巨人】 NTEOTW KYHU season3 (ページ20)

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29 上官と部下③ ページ20

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「生存者はいないか？」

どこからか聞こえる声に目を開ける。うつ伏せになっているようで、周りがよく見えない。

あれからどれくらい経ったのかも分からない。
数分なのか、数時間なのか＿＿＿＿＿＿＿

「こりゃ、酷いぞ…生きてる…のか？」

頭上から聞こえる声に、その会話が自分のことを指していることが分かった。

聞こえているのに、酷く乾燥した喉のせいで声は出ず、身体もピクリとも動かない。

が、首筋に温かい何かが触れる。

「生きてる…ッ！

応急処置だけして、すぐに本隊と合流しよう」

その言葉を聞くと安心して、意識を手放した。

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「ウィル…？

ウィル…ッ！！よかったぁ」

目を開けると見慣れた顔が視界いっぱいにあった。

ハンジ・ゾエだ。

彼女も無事だったのだ、と安心する。

ハンジが水を飲ませてくれたおかげで喉は潤ったが、あの光景が蘇って、言葉に詰まる。

「…第三分隊側が半壊だと聞いて……ウィルが無事で良かったよ。

準備が整ったら壁内に＿＿＿＿＿＿」

ハンジの声がどんどん遠ざかって、自分の身体がこれでもかっていうほど震えているのが分かった。

怖い＿＿＿＿＿＿

「あっ！スメット分隊長！」

ハンジが勢いよく立ち上がったため、ハッとそちらに目線をやると、兄がいる。

そういえば、ハンジは第二分隊所属だった。

「ウィルが重症でして…

「準備が整ったから後10分程で出発する。

怪我人(・・・)は向こうの荷馬車に乗せてやってくれ。」

「は、はい…」

兄はそこに横たわっているのが自分の妹だと気づかなかったのだろうか。一度もこちらを向くことなく、足早に去っていってしまった。

「ウィル…き、きっとスメット分隊長は忙しかったから、ね？

あっ！そこの君、彼女を荷馬車に運ぶのを手伝ってくれるかい？」

そんなに動揺しなくていいのに。

慌てるハンジを他人事に見ながら、荷馬車に運んでもらう。