６ 開門前�� ページ15
｢生きて帰って来ようなっ！｣
そう言ったイザベルの笑顔は、まだ巨人の恐ろしさを知らない純粋なものだった。
''生きて帰ってくる''
それを誓うことができないのが調査兵団だ。
何人もの兵士が仲間や愛する者と誓って、
_____帰って来れなかった。
もしかすると、この会話がイザベルとウィルの最後の会話かもしれない。
数十年先もずっとこの笑顔でいられるかもしれない。
この先どうなるかは誰にも分からない。
｢最善を尽くしましょう。｣
精一杯の笑顔で応えるウィルだったが、イザベルは納得の行かないようで頬を膨らませた。
｢なんだよ、まるで生きて帰って来れねぇみたいな言い方...｣
｢必ず生きて帰って来れる保証なんてないもの。｣
ウィルの言葉にイザベルはハッとした。
初めてここへやってきた日、ウィルの部屋には壁外調査で死んだであろう兵士の遺品が置いてあった。
｢で、でもあたしには兄貴たちだって、ウィルだってついてるだろ？｣
不安を押しつぶすように、自分に言い聞かせるようにイザベルは言葉を発する。
｢私とあなたは違う班だし、リヴァイが必ずあなたを守れるとは限らない。｣
｢なんでそんなこと言うんだよっ！｣
もっと優しい、勇気づけてくれるような言葉を貰えると思ったイザベルは動揺して声を上げた。
｢壁の外に行ったらみんな自分のことで精一杯になってしまうものよ！自分の身は自分で守らないといけないの！｣
ウィルは静かに、でも力強くイザベルに言い聞かせた。
いつものウィルと全く違う姿に、イザベルの不安はどんどん増していく。
｢ほら〜ウィル。また新人をビビらせちゃって！だめだろ〜｣
その様子を見ていたハンジがまたしても落ち着かせようと間に入る。
｢やっちゃった...｣
はっと頭を抱えるウィル。
｢ウィルも君を不安にさせようとしてるわけじゃなくて.....ね？｣
｢分かってるよ。｣
イザベルは頑張ろうな、とその場を立ち去ってしまった。
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作者名：earthn | 作成日時：2019年8月5日 6時
