廿漆 ページ28
伏黒side
恵「う"ｯ……ｹﾞﾎｯｺﾞﾎｯ」
《頭部から血が流れ、咳き込む度口に血の味が広がる》
《伏黒の身体よりも数倍はある図体が重い足音を立てて歩み寄る》
《体制を整えようと立とうとするが、肋が折れたか激痛が走り力が入らない。影を媒体とする式神の内の玉犬、渾は形が崩れ始めている》
思ったより傷がデカい
身体に力、入んねぇ…
《壁を使い自力で起き上がるも、息をする度肺も痛み視界もはっきりしていない》
《呪霊が待つことは無い。伏黒は構えるが壁に打ち付けられた際に頭を打ったのか脳震盪が起き、意識が持っていかれそうになる》
恵「ぐっ…」
《伏黒の顔の前には既に、呪霊の手が伸びていた》
──────────
Aside
『しぶとい』
《二級を相手にする白蓮も又苦戦していた。伸縮する手足は如何なる方向からも攻撃を仕掛けてくる》
《不意を付かれ、
足に呪霊の手が巻き付き宙へと飛ばされ、
上から地面へと叩き付けられる》
『ぅぐｯ─！！！』
《胸骨がミシリ、と音を立て軋み、吐血した》
《立ち上がろうとしたその時である》
『？！』
《轟音が鳴り響いたと思えば、真横の建物が大きく揺れ、半分が煙を上げて倒壊した》
《何とか身体を持ち上げ呪霊の手足を交わしつつ、倒壊した建物内へ踏み込む》
《そこには血だらけの伏黒が呪霊によって殺されかけていた》
『─ｯ！！！』
《白蓮の中の何かがプツンと途切れた》
《伸びる手を呪具で切り裂き、二級呪霊の首をあっさりと斬る。それに留まらず伏黒に攻撃を加えた一級呪霊の元へと踵を返した》
『─繋─』
《縄は一級呪霊を繭のように取り囲む》
『──裂絞呪縛──ｯ！！』
《両手を組み合わせ呪霊と視線を合わせる》
《刹那─呪霊は散々バラに散り果て、雨の如く残骸が降った。伏黒を捕らえていた手も無かったかのように粉塵の如く消え去った》
《意識のない伏黒に駆け寄り、脈拍を確認する》
《心臓は微かに動いている》
『黒、黒…！』
ここから高専、遠くない
背負って、いける
《頭からの出血を止血する為、白蓮は自らの瞳を隠すように巻いていた包帯を取り、伏黒に巻いた》
《白色の包帯はじんわりと赤く滲む》
《自分の体よりも少し大きい伏黒を背中に乗せ、人気が少ない裏路地を通って高専へと帰還した》
続く
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作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2020年11月22日 0時
