廿陸 ページ27
Aside
《白蓮に憑いた悪神による騒動から数週間経った》
《怪我も幸いなことに完治、任務に行ける程までに体力は回復していた》
五「てなわけで…恵とAには任務に行ってもらうよ！」
恵「どういう訳だよ…」
五「極秘の任務さ」
恵「何時も極秘だろ」
五「二級の呪霊が関わってる任務だよ、場所はここ。都内だけど人通りは少ないし、陰気な所だ。気を付けていってらっしゃい！」
────《都内某所》
《空の雲行きは怪しくなり、今にも雨が降りそうな勢いだ》
《二人の靴の足音だけが周囲の建物に反響する》
《何かを感じとった伏黒が歩を止めて身構える。その動きに乗じて白蓮も伏黒と背中合わせに並んだ》
恵「…おかしい」
恵「二級の気配だけじゃない、一級の気配まで」
恵「──っ！！A！来るぞ！！」
《瞬時に頭を切り替え、白蓮は辺りに術式で縄を張る。呪いに触れた直後に締め上げるものだ》
『っ、かかった』
《二人を覆うほどの影は現れた》
《頭上、呪霊は下降し二人は咄嗟に別方向にはける》
《呪霊は繋った物含め二体。一体は一級、もう一体は二級》
《剥き出した歯は黒く、醜形の胴は曲線を描き、淀んだ目玉がぎょろリ、と動く》
恵「二体居るのか…A、呪縛を─
《しかし、向かい側に居るはずの白蓮が居ない》
恵「Aっ─？！」
《視界を動かし、目を凝らす。此処よりも少し離れた場所で呪力が感じれた。恐らく二級がいる場所と判定》
《縄は術者の感覚と共有される。先程繋った呪霊が遠距離から何かしらのアクションを起こせば術者は引っ張られるように飛ばされる》
恵(Aの呪縛に対抗出来るのか─)
《伏黒は白蓮の元へ向かおうと躊躇うが、留まった。目の前の一級の呪霊を自分がどうにかしなければ攻撃の矛先が白蓮へと向かう事を考慮した為だ》
恵「─"鵺"──！！」
《雷鳴が鳴り、鵺は翼を広げ呪霊を一定の位置に留まらせる》
恵「逃がすなよ」
《大きな一撃を鵺が叩き込み、呪霊は唸り声を上げ重心を傾けた》
《その隙を見極め、鵺から主軸を変える》
恵「玉犬─"渾"─！！」
《遠吠えは天高く響き、鋭い爪で呪霊を切り裂く》
《呪霊はケタケタと笑う》
《この状況を余裕に思い、嘲笑している》
恵「くっそ─ｯ！！」
《突如、呪霊の横断の攻撃は、伏黒の腹に命中した》
恵「ぅぐｯ─ッ！！！」
《伏黒の身体は吹き飛ばされ建物を突きぬけ、壁に叩きつけられた》
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作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2020年11月22日 0時
