【d!】恋のキューピッド【zm】 (ページ15)

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車を走らせ、自宅に帰ってきた。

トントンの車はまだ無いから、買い物の途中なのだろう。

「よ、っと。新しい家まであとちょっとやで」

大きなダンボールを抱えて歩く。

改めて見ると、子猫は本当に小さかった。

昔飼っていた子猫はもう少し大きかった気がするけど。

エレベーターで上がって廊下を進み、家の前に到着した。

とりあえずダンボールは玄関に置いておいて、先に風呂だ。

風呂場で洗面器にお湯を張り、体にかけながら優しく洗ってやる。

「あれ、お前大人しいなぁ。よしよし、ええ子や」

猫は水が嫌いだから暴れて大変かと思ったが、意外にもこいつは静かだ。

単にビビって動けないだけかもしれないが、あの時みたいに引っ掻いてきたりはしない。

「ずっと外にいてボサボサやったからなぁ、キレイにしたるからな」

子猫はにゃあにゃあ鳴いて、何かを訴える。

手早く石鹸で洗い、お湯で流した。

タオルに包んで、洗面所に置いてあったドライヤーで濡れた毛を乾かしていく。

と、タイミングよくインターホンが鳴った。

俺は子猫を抱いたまま玄関に向かい、ドアを開ける。

「買ってきたで〜。うわぁ、可愛ええなぁ子猫」

「いや助かったわ、ありがとう。上がって」

トントンが買ってきたのはそこそこ大きな、猫用のケージ。2段になっているタイプのものだ。

組み立ても全部トントンがやってくれて、俺はただ猫を抱いて見ているだけだった。

「置く場所ここでええ？」

「おう、何から何まですまんな」

ケージの中に子猫を入れ、トイレと前にペットを買っていた時に使っていた水皿と餌皿も置いた。

「あとは必要になったら用意するか。あ、金払うわ」

トントンからレシートをもらい、財布の中身を確認して少し多めに渡す。

トントンは律儀に余分な金を返そうとしてくるが、ここまで協力してくれたお礼だと言って無理やり受け取らせた。