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＊
「私、シャオちゃんに………」
あの後じゃんけんに負けて皆の飲み物を買いに来た私は、自販機の前で人数分のホットココアができあがるのを待ちながら、さっきの出来事を思い返していた。
さっき転びそうになった時、シャオちゃんに抱きとめられた。
それは全くの事故で、咄嗟に支えようとしてくれたからそうなってしまっただけで、だからどうだと言う訳ではない。
けど、私にとっては大変なことで、たとえ事故だとしても好きな人に抱きしめられたという事実は変わらない。
手を繋いだことなんか小さなことになってしまうくらい、大きいこと。
「A、」
「へっ、あ、シャオちゃん…」
「俺やっぱりカフェオレにしよっかな〜って」
悶々と考え込んでいると、ぽんと肩が叩かれて、その方を見れば笑顔のシャオちゃんがいた。
「あ〜…ごめん。これで最後だったんだけど、シャオちゃんの新しく作ろうか？」
「いや、いらんわ。俺もココアでええねん」
「え、だって今…」
「さっきのこと」
「……え？」
言ったことが分からなくて聞き返そうとすると、ついさっきまで笑顔だったシャオちゃんは真剣な顔になっていた。
「さっきのこと」が何を意味するか、私には痛いほどわかってしまった。
「あ、あぁ！ありがとね、周りちゃんと見てれば良かった。ごめんねシャオちゃん」
「……俺さぁ、あいつら2人にはこんなことせぇへんよ」
「こんなこと、って？」
シャオちゃんは少しだけ眉を顰める。
「支えるんやったら腕掴むし、…転ばへんようにすんのも腕引っ張るよ。わざわざ抱きとめるまでして、優しくすんのAだけ」
「シャオちゃん…？」
シャオちゃんの綺麗な茶色の眼が私を真っ直ぐ捉える。
「Aのこと、好きだから」
「冬の方が、くっつけるかなって思ってるし、ほんまはスキーでも良かったけど、スケートの方がそういうことあるかもしれんし良いなって思ったし」
「ご、ごめんな？！なんや気持ち悪いこと言って」
シャオちゃん話している間、彼の眼をただ見つめ返すことしかできなかったけど、すごく嬉しかった。
「全然。むしろ、嬉しいよ」
「ほんま？」
「私も、ずっとシャオちゃんのこと───」
私の好きは、「友達」としての好きなんかじゃない。
恋愛感情として、ずっと、
──大好きだったんだ
〈ガーネット:友愛、真実〉
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