四十一話 ページ42
バタバタと音を立てて教室に着いた頃には既に決着が付いていたようで予想外に静かだった
背の高いクラスメイトが壁となっていて何も見えない。
咄嗟にしゃがみ込んで足の間から状況を確認するみやびちゃんを真似して私も小さくしゃがみ込む
そして、足の間から見えたものは口から血を流して倒れている…
「武田くん⁉︎」
どんな喧嘩をしたのか、何も分からないがいつも血気盛んなクラスメイト達も今は目の前の徳川くんに慄いており、只事ではないとすぐに感じ取った
だが、このまま血を流した武田くんを放置しておくのはダメだと思い、コチラに向かってくる徳川くんとすれ違うように武田くんに駆け寄ると後ろから手を掴まれて歩みが止まる
すっぽりと包み込まれた自分の手、振り返るとやはり徳川くんが私の手を掴みながら笑っていた
「A、あんなゴミに近寄るな。」
『…は?』
「弱く醜い…他人の情けで勝ち取った偽の勝利。それでいて恥ずかしげも無くトップで胡座をかくゴミを、お前が助ける必要なんて…どこにもないだろう?」
至極当然のような顔で私に語りかける徳川くんに心底理解ができない。クラスメイトも酷い言葉の数々にざわつき始める
『なに、言ってんの?』
「…そうだ、今日はゴミを排除できて気分が良い。またあのコンビニまで送ってやろう」
そう言って力強く手を引かれ体のバランスが前に倒れかかるがグッと堪えて抵抗する。
すると眉を顰めた徳川くんが不思議そうに私を見た
『徳川くんさ…それ、冗談で言ってるなら面白くないし、もし本心で言ってたら…本当に最低だよ』
「なに…?」
先程より目を少し開いた徳川くんの手の力が少し緩んだすきに手を振り払って武田くんの横で膝を付く
気絶しているが息はしている。口元の血をハンカチで拭って保健室へ連れて行こうと肩に腕を回すが意識のない男を持ち上げる事は重量的に難しかった
いつのまにか教室から居なくなっていた徳川くんの笑い声が廊下から聞こえて思わず下唇を噛んでしまう
ここぞという時に使わないならいつ使うんだ私の馬鹿力‼︎と自分に鞭を振るっていると急に負担が軽くなった
「Aちゃん、武田は僕が連れていく」
『上杉くん、』
「代わりに保健室までの付き添いをお願いしても良いかい?」
よいしょ、と武田くんを立ち上がらせた上杉くんに男女の差というものをヒシヒシと感じた
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間取り(プロフ) - 名無しさん» お優しい御心遣いとても嬉しいです…。こえ様へ連絡させていただき、文章の訂正をして頂けましたので名無し様もご確認いただけたらなと思います。間取りは名無し様の為にこれからも更新を頑張りますのでまた何かあればご報告をお願いいたします☺️🙏 (2022年9月22日 23時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 書き上げる→書き上げられる、ですね。誤字、失礼いたしました。シリーズにつきましては是非ご自分のペースで作品の更新をして貰えれば嬉しいと考えています。これからも応援しています。いつも素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» 勝手ながらご報告することにしました。確かに心配はしましたが、私としては間取りさんがのびのびと素敵な文章を書きあげるように過ごして下されば、それで満足ですので、どうかお気になさらないで下さい。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» ご確認して頂きありがとうございます。間取りさんの「どうしようもなく君が好き」シリーズは、しんしんの二次創作の中でとてもお気に入りで、いつも楽しませて貰っている分、間取りさんの知らない所でその素敵な文章が勝手に使われていることに悲しくなってしまったので (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
間取り(プロフ) - 名無しさん» ご報告ありがとうございます!今、該当作品を確認させていただいたんですが確かに私の作品と似ている所が多々見受けられたので一度作者さんとお話しさせていただこうかなと思います。せっかく楽しんで読んでいただいているのにご心配かけて大変申し訳ないです…😭 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:間取り | 作成日時:2022年8月7日 1時