どうしようもなく君が好き【新・信長公記】

十話 ページ11

入学式も出席確認も終わり、肉山先生の話を聞いて今日は解散になったので、まだ教科書の入っていない軽いカバンを背負ってみやびちゃんに声を掛ける

『みやびちゃん、良かったら一緒に帰らない?』
「是非…と言いたい所でございますが、すみません。今日は中学の同級生と会う予定があって…」
『あ、嘘、ごめん‼︎全然気にしないで‼︎』
「また機会があればその時は必ず…‼︎私もAさんと話したい事がありますので‼︎」
『うん、もちろん!気を付けてね‼︎』


申し訳なさそうにするみやびちゃんにこっちまで申し訳なくなってしまった。少し駆け足で教室を後にするみやびちゃんを見送り、私も帰ろうと席を立つと朝と同様ペシンッとおしりを叩かれた

こんな事をしてくる輩は1人しかいないだろう


『と、豊臣くん!』
「いや〜ほんまAちゃんの満点ヒップ最高やな」

手をワキワキと動かしながら近付いてくる豊臣くんにおしりを押さえながら後退る

「なんで逃げんの!」
『逃げるでしょ普通!』


豊臣くんと見つめ合いながらジリジリと下がっていると誰かにぶつかってしまった

『っあ、ごめん』
「大丈夫や、気にするな」

振り返ると派手な紫の制服が目に入った
名前は確か…出欠の時を思い出そうと脳みそをフル回転させていると、いつの間に距離を詰められたのか豊臣くんにおしりをやわやわと揉まれてしまった

『もうやだ‼︎えっち‼︎すけべ‼︎』
「揉み心地まで最高や〜ん」

派手な彼の背中に隠れて豊臣くんを罵倒するも1ミリもダメージを食らっていない様子だ。
初対面で壁にしてしまっている彼には大変申し訳がないが豊臣くんが帰るまではこのままでいさせてほしい


『ご、ごめんね、えっと…』
「前田利家、別に気にせず隠れとけ」
「ちょっ、ええカッコすんなや!Aちゃん1人やろ?一緒に帰ろうや‼︎」
『…やだ』
「やだって‼︎かわええけど!なんでや!」

「すっかり嫌われているように見えるが?」
「ぐっ…毛利まで…」

その後2人には敵わないと分かったのかAちゃんのおしりが悪いんや〜‼︎と泣き真似をしながら帰っていった

『前田くんと…毛利くんも、ごめんね。ありがとう』
「Aも災難やったな」
「うむ」

気にしてないと言うように笑ってくれる2人には頭が上がらない。ペコペコと頭を下げていると前田くんが私の頭に手を乗せた

「頭はもう大丈夫か?」
『頭…?』


前田くんの言葉に首を傾げていたが出欠時の出来事を思い出して顔が赤くなった

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